2-2~ニート的前兆~
戦争に次いで文明の発展に貢献しているものは、
ずばりエロだと私は思う。
「ハァハァ……こんなところで……」
私は頭が真っ白になっていた。
「だ、だめだ……ぅ……こんな」
それでも何とか理性を保とうと精一杯の抵抗を見せる。
「へぇ、どの口がそんなことを吐くの?」
耳元で囁くように言葉が紡がれる。
それは甘く、それでいて蠱惑的な響きを持ち、
いっそ優雅とも言えるかもしれない。
「貴方が望んだことでしょう?」
一言、また一言。
紅い唇から音が漏れる度、
理性が自我が、
自分の中の知性を司るナニカが奪い去られるのを感じる。
「っ……!!」
違う、こんなものじゃない!
私が、私が望んだのは!
「ストーップ! ストップストーップ!!」
あらん限りの理性を総動員して叫んだ。
すると瞬く間に、
場を支配していた異様な空気が消え去る。
電車の中で痴女から痴漢に会う。
それはいい。
ところが乗り気になった男に逆にしてやられ、
歯止めが利かなくなった男が少し強引に。
と、こういう飽くまでも!
私が優勢で責めるシチュエーションだったんだが。
ダメじゃないか!
あそこまで魅力的だとなに、
こう理性が本能に押し切らてしまうからして……
あたかも映画監督のように、
いや、この場合はビデオか。
ソレのように声を張り上げ演技指導のフリをする。
だってぇ、
タケちゃんがあんまり可愛いく鳴くからついー……
すると甘えるような声でユリアが舌を出して謝り、
もうしょうがないなぁ、ユリアは……
私としては許す他なく。
うふふ……あはは……えへへ……
という妄想。
いつもよりリアルに妄想出来た気がして、
満足しつつ私は眠りについた。