Neetel Inside ニートノベル
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 甲皇国駐屯地、ミシュガルド調査兵団総司令部。ホロヴィズ将軍の顔は恐鳥の髑髏の仮面に覆われ、身には黒いローブをまとっている。将軍というよりかはまじない師のような格好だ。ホロヴィズ将軍はボディーガードを引見していた。
 中折れ帽にサングラス、裸の上に紫色の法衣という怪しげな男が紹介する。
「私は催眠術師のレイバンと申します。そして、この少女こそが催眠術によってどんな命令にも絶対服従するボディーガード、アルペジオです」
 緑色の髪の長いポニーテールの少女がコクリとうなずく。黒い軍服に不釣り合いな華奢な体は、守る側よりも守られる側にしか見えない。
 ホロヴィズの不安を察したのか、レイバンは言い訳した。
「まだ最終調整を終了しておりません。このサングラスを付ければ完成となります。さっ、アルペジオ。このサングラスをかけなさい」
「嫌です」
 アルペジオの拒否にレイバンは慌てる。ホロヴィズの横に控えている伊達眼鏡をかけたシュエン少年は、桃色の髪で三ツ編みにしたり手遊びしていた。シュエンが秘書官の仕事を思い出し、ホロヴィズの不信感を代弁する。
「絶対服従してないよね」
 シュエンの指摘にレイバンはサングラスは諦め、別の命令をすることにした。
「そんなことありません。証明してみせましょう。アルペジオ、エッチなことをしなさい」
「嫌です」
 結局、アルペジオの実力を見るため別の任務が与えられた。メゼツの極秘任務に対する助っ人である。メゼツの転生は甲皇国上層部しか知らないトップシークレットであるため、アルペジオには単にウンチダスを守れと命令された。
 シュエンは以前にゲル・グリップ大佐が「ホロヴィズ将軍は自分の息子に甘すぎる」と言ったことを思い出した。冷酷な鉄骨将軍も人の親なのだと。

       

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