「注文の多い料理店やないかい」 作者:えろま
【作品内容】
はい!大長編の塊のような超文量の官能小説二回目の感想になります。申し訳ない、読了までにかなりの時間を要してしまいました。なんとか今年中には間に合わせたいなと考えて、仕事の合間に前屈みになりながら読んでおりました!いやー危なかった(色々と)…。
前回はこの内の三つを読まさせて頂きましたね。そして今回は残りを。まあ女中シリーズは前にもう読んでいたので良いのですが、他がですねー。これ一つ一つがニノべ作品を複数纏めても足りないほど長いお話ですので。いやはや中々読み応えありました!
【物語詳細】
『女中の襟に手を入れて(長編予定)』
『 紆余曲折の末に幸せな三人家族として生活していたハル達。マルカの誕生日も大成功の形で成し遂げ、最愛の妹を喜ばせる次なイベントはクリスマス。
マルカの望むプレゼントを求め街に出たハルは、そこでとある少女に出会う。
既視感すら覚えるほどに、妹として家族として迎え入れたマルカのかつての姿と雰囲気に、酷似した金髪の少女に。』
うーん、やっぱりこのシリーズは良い。ほのぼのする。
こっちの方はエロ少な目、というかほとんど無かったですね。ソフィア編ということで、ストーリー性を重視している感じでしょうか。
ハルは相変わらずロクでもないように見えて普通に善人なんですよねー。満月さんも。いやそれ言ったらマルカもだけど。良い人しかいねえなこのお話。幸せな世界。
ソフィアは昔のマルカと同じく中々深い闇を抱えていそうな雰囲気です。歳がより幼い分、ソフィアの方が凄惨な過去になってそう。正直知るのすらキツイ。何か悪いことをしたわけでもないのに、世知辛いですね…。
一刻も早くソフィアちゃんが救われることを願うのみなので、えろま先生早く続きお願いします!いや急かすわけではないのですが!でもなるべく早く!
『女中interlude(短編連作)』
『 それはある日のなんでもない一日。
それはある日の倒錯的な時間。
それはある日の家族の日々。
たった四人を収める巨大な館は、今日もまた歓声と嬌声と悲鳴が木霊する。』
いやもうなんか、これこれ!これこそ女中ですよね!!…って感じでした。
もう凄い、正直倒錯的とかそんなレベルじゃない。満月さんは人間じゃない、新手のヴァギナ・デンタータでしたってネタバレ入ってもすんなり受け入れられるくらいにヤバい。グラトニーも真っ青の収納能力、その下の口はどうなってんの真理の扉に繋がってんの?
着々と我らがヒロインマルカちゃんが変態プレイに染め上げられていってしまう、薄幸少女が常軌を逸した遥か遠い世界へ旅立ってしまう…。ソフィア止めろ早く姉引き止めろ手遅れになるぞ。
キャラが四人しかいないはずなのにこの満腹感。濃すぎる、主に性依存症の変態と万能変態メイドのせいで。
でもなんだかんだでほっこりしてしまう。悔しい、でも感じちゃう…!ちゃんと土台でシリアスやってたからか、のんびり平和な日々を送ってると微笑ましくなってしまうのです。
こういう家族系が弱い鹽竈的にはドストライクなんですよねー女中シリーズ。
『注文の多い料理店やないかい(完結)』
『 とある山の奥の奥。一度入り込めば帰ること叶わぬその最奥。
迷いに迷ったワカメ頭の青年は、そこで奇妙な洋館を見つけます。
どこかで聞いたことのある名前、どこか見覚えのあるルールを備えた料理店。
そこで、どこぞの大富豪たる変態紳士はいつもと変わらぬように振る舞います。
いつもと変わらず、倒錯に倒錯を重ねた、人道すら逸する嗜虐の限りを尽くします。』
(これ女中シリーズだったのか……)
全然関係ないものとばかり思っていました。でもこのド変態ワカメは明らかにアイツしかいない。これまでは一応それほど逸脱した世界観の話ではないと思っていたのですが、ここにきてその認識に亀裂が入り掛けました。猫耳の亜人種とか最高じゃないですかー!でも喰われるのは勘弁。
相変わらず軽く引くレベルのプレイ内容でした。えろま先生はそんなに自分の身を肉欲の果てに捧げたいの…!?
というか館の住人が増えてる。なんでムーン一家が揃ってるんですか、いつ来たお前ら。その内に本編で出て来るんですかね?
『フェアリー・テイル(無期限休載)』
『 人と妖精の共存、それは遥か昔の話。
人間に裏切られ滅ぼされた妖精の姫、ティターニアことティティはそれを断じて許さなかった。滅ぼし返さなければ、凌辱せねば、蹂躙の限りを尽くさねば気が済まなかった。
友に裏切られ恋人は寝取られ、国からも追放された人間の男、グロウは国と同族たる人類に対し果ての無い怨嗟と憎悪を滾らせていた。皆殺しにしなければ気が狂いそうなほど、その身は憎しみに満ちていた。
墜ちた姫君と奪われた勇者は絶望の底にて邂逅を果たす。共に目指すべき終着は同じ。
復讐に焦がれ、ここに世を地獄と化す人間と妖精の血盟が相成った。』
この先生のお書きになられるお話には酷いヒロインしか出ませんね!もちろん褒め言葉にてございますよ!
予想を遥かに上回る重たい話、復讐劇だったんですねこれ…。
ティティが最初おちゃらけた堕落変態妖精かと思ってたんですけど(別に間違いではなかったですが)、抱えている闇が相当深い。しかも隠された力みたいなの持ってる。キレたらやばそう。
グロウの復讐は応援したくなるくらい凄惨な過去があるので是非ともアルベリヒの野郎をぶち殺してくださいはい!ってか持ってる武器カッコいいな、一瞬FF7のクラウドが持ってた合体剣を思い出しました。あれの槍バージョンって感じかな?
物語的にはまだ中盤差し掛からないくらいでしょうか。似非勇者との決着とか恩師との決闘とかティティの真相とかワダツミちゃんとの和姦とかやってないこと色々ありますしね!ちょっとお願いですからそろそろグロウ様もまともな人間の女の子とまともなエロやってくださいよワダツミちゃん可愛いじゃないですか!!
無期限休載ってのが悲しいところですね、しかし鹽竈はいつまでもお待ちしておりますよ!!
『TITI`Sキッチン(短編連作)』
『 妖精姫の頭は致命的なまでに酷い。何がどう酷いか、説明することすら億劫になるほど。それに付き合わされる人間、グロウの胸中は推して知るべきであった。
今日も今日とて、人の世に復讐をと誓い合った盟友の乱痴気騒ぎに巻き込まれるグロウなのであった。』
…………(無言のドン引き)。
この子病気だわ、不治の病だわ、死んでも治らないヤツだわ……。
ていうかもう、タイトル…すごい聞き覚えある…あの、あれ……オリーブオイル的なアレ…。
凄いよえろま先生、こんな発想が出来ることを純粋に称賛したい。でも流石にこれは抜けない、萎えます。
これは純愛なんでしょうか、いいえ歪な愛です。グロウ様も死なないからって小動物的なサイズの妖精を容赦なく虐め抜けるメンタルは異常の一言で片づけられるのではないでしょうか。
しかも外伝ですらワダツミちゃん出番ほぼ無しじゃないですか!短編連作なら一度くらいメインに据えてお話作ってくれてもいいじゃないですかーやだー!
『蟻竜についての手記(中編)』
『 二人の男が漂着した、一つの惑星。未開の地、未知の種族が跋扈するそこへ恐る恐る踏み入れる。そこには限りなく人類に類似した人型の生命―――蟻竜が生息していた。
決して侮辱や侮蔑の意図なくして、しかしその蟻竜は野蛮な種族であったと手記は語る。
漂着人の片割れ、ドワイト・ジェームズが記したそれには、救出艇が来るまでの間に起きた酒池肉林の日々が事細かに記載されていた。』
うーん、エロい。ファックしたい、されたい。
……なんかこの蟻竜に限らず今作品をずっと読んでたら頭が麻痺してきたような気が…錯覚かな。今なら少しくらい齧られてもいいような気分になってます。
結局ドワイトも蟻竜として染まってしまっていた、というオチですかね。長く異なる環境に居続けたが故の汚染…この星の基準に則るのなら常識?に飲み込まれてしまった的な。
でもまあ、あんな歓待されて甘美で淫靡な日々を送れるのなら、ちょっと行ってみたいなーと思ってしまうのは責められることではないでしょう。だって男の子だもの。
【人物】
散々上で書いたのにこれ以上この項目必要あるかな?鹽竈は無いなぁ…と思いますけども。
大体エロいですね、人が。うんエロい。
自分の性欲に正直な連中がとても多い!まあ生真面目しかいなかったらエロが成立しないんですけど。
それぞれが強い性欲を持っていたり、あるいは特殊な性癖を抱えている者がいる中で、それを受け止めた上で共に興奮できる相手が出来るという奇跡的な巡り合わせの中で発生しているのがこの官能小説ですね。
人外の化物であったり、変態御主人であったり、はたまた異星の亜人種だったり。普通の人間の女でなくとも欲情できる男ありきでの物語が大半を占める今作は、読んでいる側も相応の性癖を必須としなければ実用性が薄いのかなと感じますね。あ、女中は普通に抜けましたはい、ありがとうございました!
【文章】
文句無しですね!一応、膨大な文量を追い掛けながらも言い回しや誤字脱字を注意しながら見ていたのですが、全然ない!なにこれどうなってんですか?
以前にも書いたような気がしますが、普通に書籍化されているそれらと比べても遜色ないレベルに高い構成と文章力をお持ちであると感じました。ってか指摘する点のあり過ぎる雑な文章だったらこれだけの量を読破することは叶わなかったでしょう。そういう意味でもえろま先生にはひたすら感謝の念を禁じ得ません。
というわけで、特に挙げるべき点は無し!ということでっ!!
いや手抜きじゃないですほんとです。
【ざっくり感想】
いやー……読み切りました。読了後のこのなんともいえない感覚、ソナタの読了後にも似た感じを覚えました。長い長い物語を手繰り、ようやく一段落つく所まで辿り着いた歓喜と、それに少しだけ混じる寂寥感、のような何か。
まあ下手なポエムは自身を黒歴史という破滅を追いやるだけなので控えておくとして。でもなんかすっきりしました。特に年内に読み終えるという目標を達成したことが大きいでしょう。
読み終えてからふと思い返してみれば、年を越すという間際になってなんで僕はこんなムラムラとした気分になっているのだろうと。ひたすら悶々とします。
官能小説としてはとても機能している作品だと思います。ただ上記で挙げた通り、いくつかのものは特殊な性癖をお持ちでないといざ実用とはいかないやもしれません。
・食べたい(物理)、食べられたい(比喩無し)という人。
・普通の人間との性交に飽いた人、人ならざるものとのまぐわいを渇望する人。
・変態。
この辺りに該当する人は大体全部のお話で興奮できると思います。
個人的にはやはり何度でも言いますが女中シリーズ、次いでこれも女中に含まれると思いますがケモ耳愛好家として料理店、あとはのじゃロリを嗜む一人としては祓魔の血脈もオススメしたいところですかね!
ヒロインとしてはダントツの大正義正妻マルカちゃん、あとはワダツミちゃんが好きです。メイドも良いですが日本人たるもの、やはり和装も好きですねぇ。
…なんかこれ以上続けると鹽竈も妙な変態性を引き摺り出されそうなのでこの辺にしときたいと思います。
未だ完結に至らぬ作品も、続きが気になるばかりです。フェアリー・テイルなんかはもうエロ抜きで普通に続きを読みたいんですけど!