Neetel Inside ニートノベル
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イチサン。1-4 同じころ

ミコ、大上を張りたかったが、職員室に呼び出され
ようやくグランドへ来たところ
ミコの成績はあまり良くない。
中の中というところ。

走ってきたところで
若い男の響くような声が耳に入る。

男の声:姫。また会いましょう。

へんな仮面の男が走り去る。

ミコ:なんだあ?

ミコ、男が走ってきたほうを覗き込む。


ミコ:あれ?確か、同じクラスの
胡野まいさん。


まい:あ。蒔稲ミコさん?

まい、ニッコリと笑顔。

ミコ、まいの掌の箱を見つけ驚く

ミコ:傀儡箱!

まい:ああ。先ほど愉快なかたに
プレゼントいただきましたの。

まい、ミコに向けニッコリ笑う。
そのとき傀儡箱のフタが、音もなく
開きはじめる。

箱の口からは奇妙な光があふれ、
その中から、黒い動物の足が伸びている。

まい:あらあら。
ミコ:あっ!

光の中から現れたのは一匹の黒猫だった。
黒猫は床のうえにぴょんと降り立ち、
まいの足元に擦り寄る。

まい:まあ。イリュージョン?


箱の光は収まらず、またも、黒い足が伸び
黒猫がもう一匹現れる。
その黒猫は腕を伝い、まいの肩に乗って
顔を擦り寄せる。

箱が光り黒猫が出てくる。
次々猫が現れまいは9匹の黒猫に囲まれる。



9匹目の黒猫が地面に降りたとき、
1匹がすうっ立ち上がり、二本足で立った。

その猫を中心に他の8匹が集まり
3x3の隊列になった。
みな2足で立っている。

黒猫たちはキチンとまいに向き直る。
まるで機械のように。

そして180度向きを変えてスゴイ勢いで
走り出す。
3x3の隊列には一部の隙もなく
黒い四角形が走っているように見える。
恐ろしくもあるが滑稽に思えた。


黒い四角形の行方にはなると、大上がいる。

ミコ:なる!大上!逃げて!

ミコ、黒猫を追いかける。
途中旗を立てていた棒を引き抜く。

黒猫に追いつき地面をさらうように棒を
振り回す。

黒猫は同時にピョンと跳ね。棒を交わす。
後列の隅の黒猫に棒がヒットしカラカラと
音を立て、転がって行く。すかさず足を
踏みつぶす。

間に合わないと見たミコはもう一段加速し
棒の先を地面に突き群れを低く飛び越し
なる、大上のを背にして黒猫に向かって
構える。

ミコ:まっすぐ逃げて。

なる:わかった。

なる、コシが抜けている大上をおぶって
走り出す。

ミコ、再度一度棒で地面をさらう。
そのまま重心を低くし体ごと回転し、
左足で払う。前の2匹にヒットし、
吹っ飛んでいく。
つま先に当たったほうは胴が割れバラバラに
散らばった。

構えを立て直し
棒を中心部に持ち替えて
正面で回転させる。

距離は稼いだ。隊列に残った猫は6匹
一気に行くか。と思った瞬間

中央の1匹が飛び掛かる。
それを交わし後方に目をやると
残り5匹は散開して別々になる、大上を
追い始める。

まずいと思ったがなぜか5匹の動きは
ギクシャクして大上をおぶっているなるにも
追いつかない。

中央にいた1匹だけがミコに向かって立ち
不気味な雰囲気を漂わせている。

ミコ:行かせないってか?
あれじゃ追いつきもしないよ。
さあ。やろうか。

       

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