Neetel Inside ニートノベル
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イチサン。 1-5 黒猫


グランドの見える校舎のそば

ミコ、激しく突きの連打。
黒猫は最小限の動きで交わす。
突きが収まるとピタリと動きが止まる。

ミコ:(やっぱり。クグツはクグツだ。
反応してるだけ。期待してソンした。
さっさと片付けよう。)

ミコ、手数を増し、突きの連打を続けるが
まるで当たらない。
黒猫はピョコピョコと器用に交わす。

ミコ:ええい。チョコマカと。

黒猫、棒をつかみ、棒の勢いを利用して
引っ張りこむ

ミコ:わあっ。

ミコ、不意に転倒してしまう。

ミコ:イテテ。ちっくしょ。調子狂うなあ。



一方、なる、大上。

大上、なるにおんぶされている。
振り返って、

大上:あれ?追ってこないぞ。
なる。オレもう大丈夫。

なる、大上を下ろしながら

なる:はあ。重かった

大上:ゴメンゴメン
でもいつ来るかわかんないから
あの植え込みに隠れよう。

身を潜める二人。

なる:うふふ。なんか。
子供のときみたいだ。
ワクワクする。

大上:なるは呑気だな。

なる:あ。ヤバ。静かに。

5匹の黒猫がギクシャクしながら現れる。
ギクシャクした動きのまま、やがて外を
向いた円陣になり、辺りをキョロキョロと
見渡す。

大上、ささやき声でなるに耳打ち。

大上:ぷぷっ。ヘンなの。でもどーしよ。
探しにきたら。

なる:でもさ。弱っちくない?ミコ蹴ったら
壊れてたし。あ、ヤバイ。

黒猫、一斉になる達の隠れた植え込みに向き
直り円陣を崩さないまま走ってくる。

途中1匹が段差に躓いて転倒する。
その1匹はジタバタもがいている。

4匹は立ち止まり、さきほどと同じように
外側を向いてキョロキョロ辺りを探る。
転倒した1匹はギクシャクと立ち上がり、
ギクシャクと4匹の方へ向かい始める。

大上、石を拾い、少し離れた植え込みに
投げ込む。
石は「ガサッ」と音を立て植込みに落ちる。

黒猫、一斉に音のほうへ向き直り先ほどと
同じように走って行く。

大上はケータイを取り出し、なにか操作を
始める。

ケータイの画面をなるに見せる。
ケータイにはこう書かれている。
”こいつら、アタマもワルくね?”

なる、ケータイを取り、操作。
”うん。逃げるのイミ無くない?”

大上、ケータイを操作
”やっちまうか。”

なるは、大上の顔をじっと見つめ
うん。と言うように大きくうなづく。

       

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