監視人と無冠の帝王

げんざいひじょうじたいにそうぐう
かんしのためにもろぼしとこうどうをともにするが、しょうたいふめいのしゅうだんにらちかんきんされる。
かんきんばしょはふめい
はっしんさきより、かんきんばしょのとくていおよびきゅうえんもとむ。




 一月の朝に降りしきる雨は、私に不吉な予感を孕ませる。
「アカネさん、寒くないですか?」
 傘を叩く雨の音で諸星の声は私の耳に届きにくい。
「大丈夫。それより、本当に来ると良いけど」
「犯人は現場に戻ってくるっていうじゃないか。そもそも、偶然ここを訪れた人間が、埋めたお金を見つけ出すなんてことはありえない」
「うん」
「それよりも、元々この辺りを利用していた奴が居て、豊さんがそこに資金を埋めてしまって、それに気づかれて掘り返されたと考える方が妥当だと思うからね」
 確かにその通りかもしれないが、監視を始めてこれで3日目である。
 そろそろ、別の手段を計画してみてはどうだろうか。そう考えた時、我に返る。
 駄目だ。
 感情移入してしまっている。私は諸星を監視する立場で、協力する振りをしているだけなのに。本気で資金を取り返す手段を考えるなんて、大変な失態である
 自己嫌悪に陥っていた時、雨の音に混じって、また、別の音が耳に入る。その異変に気づくと同時に、アルコールのような匂いが鼻をついた。