Neetel Inside 文芸新都
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No1「小さな侵略星人」

ある日、日本の国際宇宙開発局の月探査船が信じられない物を宇宙空間で回収した。
淡い光を放ちながら眠る、掌大の小さな少女である。
童話の妖精に酷似した外観から、「コスモピクシー」と名付けられたそれは、世界中の大きな注目を集めた。

宇宙の神秘の解明、ファーストコンタクト…。
人々はコスモピクシーにそんな夢と希望を見て、その研究解析を急がせる。
美しく、小さく、儚げなそれは、人類の警戒心を薄れさせ、探求心をくすぐるのに十分な外見だった。

そして、慎重論を唱える少数の意見を押し切り、地球に運ばれたコスモピクシーは、宇宙船から降ろされるや突如覚醒、巨大化する。
コスモピクシーの正体、それは地球侵略のためにやってきた侵略星人だったのだ。
人類の呼びかけを無視し、街を破壊して逃げ惑う人間を捕食して更に巨大になっていくコスモピクシー。
軍が出撃して攻撃を加えるも全く歯がたたず、逆に、コスモピクシーの放つ強力な怪光線で撃破されてしまう。
やがてコスモピクシーに増殖の傾向が見られ、核兵器の使用が検討され始めた、その時、天空の彼方から白い胴着姿の巨大な人型のなにかが飛んできて、コスモピクシーの前に立ち塞がった。
その名は、「カラテレンビクトリー」、宇宙の道徳に従い、侵略衝動に駆られて地球を襲う星人達から人類文明と地球を守るためやってきた巨大宇宙人である。
カラテレンビクトリーはコスモピクシーと素手で打ちあい、軍の最新兵器でも傷つけられなかったコスモピクシーをぶちのめして、三弾蹴りを見舞って撲殺した。
爆発四散するコスモピクシー。
コスモピクシーを倒したカラテレンビクトリーは、再び空へと帰っていく。
それを、人々はただ茫然と見送った。
宇宙の神秘も、ファーストコンタクトも、人類が受け入れるには大きすぎたのだ。

       

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