Neetel Inside 文芸新都
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No21 「異次元人への挑戦」

世界各地で、原因不明の行方不明者が続発した。
行方不明者に共通点は無く、失踪する理由もない人間達が、ある日突然、消えていくのだ。
やがて事件の規模はエスカレートしていき、大型バスや旅客機、タンカーまでもが消えてしまう。

やがて、各国は、人や物が消えてしまう際、異次元からの干渉があった事をつきとめる。
娘を異次元へとさらわれたI教授は、様々な観測データから、異次元からの干渉に重力が使われている事を解明した。
異次元からこちらの次元に干渉している何者かは、物体に発生する重力を操作し、それを零にする事で、次元が物体を捉えている力を消滅させて、こちらの次元の物体を異次元へと持ちだしているのだ。
如何にして相手がこちらの重力を操ったり、こちらの次元の存在を知ったか等は不明だが、重力の変動を探る事で、次の干渉点を察知する方法を教授は見つけ出し、次の犠牲者を割りだす事に成功する。
そして教授は相手が無力化できないだけの重力を人工的に発生させる事で、逆に相手をこちらの次元へと引きづり出せないかと考え、人工的にマイクロブラックホールを作りだす装置を持ちだし、犠牲者が重力零にされる瞬間、マイクロブラックホールを干渉させて干渉者の引きこみを図った。
だが、マイクロブラックホール発生装置の出力が足りず、相手をこちらの次元に引っ張りだす事ができない上、引きこまれる対象者もこのままでは無事では済まない。
計画が失敗しようとしたその時、白い胴着姿の宇宙人、カラテレンビクトリーが突如現場に現れ、ブラックホール発生装置の出力を強制的に増大させた。
カラテレンビクトリーはこれまで宇宙からの侵略者と戦い、撃破してきた宇宙の空手家である、その宇宙の空手家が、会然とする教授達の前でブラックホール発生装置を調整すると、重力を通じて繋がっていた二つの世界の間に亀裂が生じた。
ビクトリーはその亀裂に迷う事無く飛びこみ、異次元世界へと侵入する。

ビクトリ―が侵入した異次元空間、そこは時間の流れがあやふやで、何もかもが不確かな紫色の空間だった。
そして、その空間に確かな形をもって存在している物体が一つ。
薄紫色で、タツノオトシゴか、はたまた鶏のとさかのような姿をした、空間を漂う生物、それが、今回の物体消滅事件の犯人、異次元人だ。
ビクトリーは素早く異次元人との距離をつめると、正拳突きで逃げようとする異次元人を粉砕する。
すると、異次元空間は更に大きく歪んで消失し、こちらの世界の人々は元の世界の元の場所へと帰ってきた。
恐ろしい異次元人による誘拐行為を退けたビクトリーは、人々の無事を確認すると、空へと飛び去っていく。
消えていた人達は去っていくビクトリーを、ただ茫然と見送った。

       

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