Neetel Inside ベータマガジン
表紙

見開き   最大化      

「退魔を担う彼の場合は」
ソルト
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19173

 ニノベ小説感想を書かれている鹽竈先生の別名義での連載。私がこの文芸・ニノベ作品感想を担当するにあたりご挨拶差し上げると、寛容に受け止めていただきました。ソルト先生への私信になりますが、改めて感謝申し上げます。忌憚なき感想をということでしたので、感想は他の先生への感想と同様に好き勝手に書かせていただこうと思います。

第一話 陽を背負う者達
 
 場合シリーズということで異能モノを複数作連載、完結なさっているソルト先生。新都社小説とほぼ関わってこなかったため、私は読んでいません。前作を読んでいるほうが楽しめるのかもしれませんが、時間の関係上本作から読み始めます。
 導入は四人の少年少女が河童と対峙しています。異能のベースは五行思想でしょうか。主役は旭、日昏、晶納、昊という四人兄弟のようです。河童を退治した後、晶納だけが殺そうとします。彼の性格が綺麗に印象づけられる一方、人数が多くて残り三人の性格の把握までは第一話ではできませんでした。タイトルが彼達ではなく彼であるところから見て、晶納が主役の中でもメインなのでしょうか。もう少し読んでいかないと分かりそうにないですね。
 最後のブロックで世界観の解説がなされます。更新が多くて読み疲れてきているせいもあるのか、非常に助かります。「陽向」姓の四人は陰陽師として退魔の継承者だそうです。ルーキーということで、荒削りな部分もこの後楽しんでいけそうです。

第二話 退魔師の集落

 前話で退治後の河童との対話を任された昊は、「感応」の異能を備えているそうです。一方で、人外にはそれぞれ本能を併せ持つそうで、河童の場合は胡瓜を食らう程度のもので良かったのですが、これから昊は色々と悩み成長する立場を担うような立場にならざるを得ないのでしょう。まだ十三歳ではなかなかの重責です。人外の扱いに対しては、今は殺すか殺さないか程度の議論しか出てきませんが、これから各々の成長に伴い各々の考え方が出てくると思うと、外野からすると楽しくなりそうです。四人兄弟なのかと思っていたのですが、旭、日昏、晶納は同い年らしいので、集落全体が一族で、兄弟なわけではないのですかね。
 第二話後半では、人面犬の登場が示唆されると共に、晶納の師、陽向是才が登場して、師弟のやりとりが見られます。河童を殺そうとした印象が強い晶納ですが、子どもらしい面を残しており、ほっこりとした気分になりました。

第三話 一筋縄ではいかない任務

 前話で示唆されていたように人面犬の退治が四人組に依頼されますが、本来断れないはずの依頼に対して、長老が四人に依頼を受け入れるかを委ねます。何かきな臭い空気を残したまま四人は承諾します。真名の解放という新しい概念が出てきます。どんなものかという謎解きが持ち越され綺麗な引きができます。また、普段は持ち出されないであろう神代の一振りを持っていく許可が出て、依頼に対してより一層緊迫感が生み出されました。一体どうなってしまうんでしょう。

第四話 長き夜の死闘、開戦

 本話を通じて、第三話で種が撒かれた緊張感が少しずつ高まっていきます。敵が人面犬だけであれば楽だったのですが、ここで第三勢力の存在が提示されます。三つ巴の戦いは書くのは大変でしょうが、読むのは面白いので大歓迎です。お話づくりの勉強になります。半日後の決行が決まった後、場面は転換します。
 視点が四兄弟から人面犬に移ります。視点移動後に陽向を名乗る人物が出てきたので別の陽向が出てきたのかと思うと、それはミスリードで晶納でした。単独行動なのか、と思ったところで本話は終了。作者の思惑通り、引きにまんまと興味を奪われてしまいます。メインに入りそうなところで今回の感想は終了しようと思います。


       

表紙
Tweet

Neetsha