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「少女は英雄を知る」
たろやまd
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18947

00:05という24日すぐに更新してくださった作品です。
誰も更新してくれないんじゃないかと地味に怖気づいていたので、素直にうれしかったです。昔読んだことがあるのですが、登場人物の増加に伴って心が折れた記憶があります。個人的にカタカナの名前を覚えるのが苦手です。連載が長く続いているのでどこまで読めるかは分からないですが、とりあえず読み始めることにします。

プロローグ

 少女は英雄を知るというタイトルの物語。英雄は英雄を知るが元ネタでしょう。少女もまた英雄となるなのでしょうか。読み始めてすぐカラトとシエラ、二人の人物が出てきます。カラトがシエラを背負っているので、カラトが英雄でシエラが少女でしょうか。二人は何かから逃げていて、カラトはシエラを守るための行動に出ます。シエラは百人近い追っ手を見事に引きつけるわけですが、その先頭を進む女性シーと知り合いであることが明らかにされます。二人が分かり合えないまま、カラトは剣を抜きます。誰かを守りたいという気持ちになることはありますが、行動に移せることってなかなかないですよね。
 この後、視点はシエラに移って、一度はカラトに言われるがまま逃げたシエラはカラトの元に戻ります。そこにいたのは瀕死のカラト。追っ手の姿はありません。カラトの死を確信したからなのでしょうか。カラトは言います。人を呼んできてくれないか。もう素直にその言葉を信じられるシエラではありませんが、村へ向かって走り出します。自分にできることは本当にそれしかないから、と。素直な子ですね。自分にできることがそれしかないと思って、素直にそれができるのは才能だなあと最近ひしひしと思います。ただ自分にできることを努力できればと本当に思います。
 最後二行、視点はカラトに戻ります。ごめんな。カラトが心の中で呟いたのは、嘘を吐いたからでしょうか。それとも別の何かが。というところでプロローグは終わります。
 覚悟を決めたカラトと必死なシエラが印象的でプロローグから切迫感溢れる展開です。プロローグですべてを判断されがちな新都社小説。こういうすっと読めてドキドキもできるのはうれしいです。

ラベンダー編

 さて、舞台はがらっと変わってグレイという男性の視点になります。道路が舗装されているような場所では景色が直ぐ変わっていて懐かしさは失われてしまうような気もしますが、きっと村の人が昔の状態を大切にしているのでしょう。グレイはラベンダー村のボルドーに呼び出されて会いに行きます。調度の誤字が目に付きます。グレイは男性かと思ったら女性なんですね。家の裏で薪を割る少女が実はプロローグで出てきたシエラというわけなのですが、そう言えばカラトはボルドーを頼れって言ってましたね。名前が苦手だと駄目ですね、やっぱり。ボルドーが突然駆け込んできたシエラを信じた理由の一つに、カラトの首飾りを持っていたということがあげられます。後々キーアイテムになってきそうですね。
 そのままシエラとボルドーはカラトの足跡を辿る旅に出ることになります。これがこの物語の本筋になるのでしょうか。まず向かうはカラトが息絶えたと思われる場所。ボルドーが前に確認しに来た時に死体はもうなかったらしいです。謎は深まるばかりですね。
 ボルドー、シエラ、グレイの三人。おじいさんと女性二人の旅と聞くと厄介事がありそうですが、武術の心得があるようなので安心なんですかね。

グリーン編

 話数はひとつ進み、また視点が代わります。三人称一人視点で次々と視点が変わっています。ここまでで既に、カラト→シエラ→カラト→シエラ→グレイ→シエラ→ペイルと変化しています。少し好き勝手に言わせてもらうと、登場人物が多い中でこの視点の変化が続くのはなかなか読み手としては辛いです。厳しいことを言うようですが、連載初期の段階で読み手はキャラに愛情を持っていません。半分以上自分への戒めとして言ったような気がします。
 ここで「心気」という概念が出てきます。ひとの内なる力のような「心気」は、使いこなせればそれだけで有利になるとのこと。能力バトル漫画に発展するなら、どういう心気を使えるかが非常に重要になってくるのでしょう。
 この後、シエラの初めての戦いが描かれるわけですが、プロローグとは違い読点が多く疾走感に欠けます。初めての戦いだからなのでしょうか。あと、詐欺師ペイルが素直に悪事を告白するシーンがあるのですが、まだ感情移入できてなかったので、早いなあという感覚でした。グレイはこの街でお別れ。どうやらペイルとサンドも街に残るようで、ボルドーとシエラのふたり旅になるようです。と思ったら街の外までペイルが追いかけてきて仲間になりました。
このお話で心気という概念が出てきたものの、戦闘シーンで出てきたのは心気による治療くらいでしょうか。新しい概念が出てきたのだから、もう少し具体例を出して、その一方で謎の部分を明示する。そういうことをしてくれたら、楽に世界に入り込めるのかなあと思います。

ローズ編

 また視点変更です。セピアという女性が出てきます。ここまで来ると、各編での主役とでも言うべき人物が出てきて、その人の視点で物語が始まるのだろうと覚悟を決めることが出来て読みやすくなってきます。
 第3話にして、ようやく人数の多さに慣れてきました。このあたりまで読めるかどうかが個人的には勝負ですね。こうなってしまうとキャラにも愛着が湧いてくるので読みやすくなってきました。シエラの記憶を辿る度でもあるわけですが、シエラの記憶力のなさが気になります。なにか理由があるのでしょうか。
 ローズに到着した一行。ボルドーは旧知を訪ねて情報収集。ペイルとシエラは飲食店でローズ編の主役とも言うべき人になるであろうセピアと出会います。このあとペイルはセピアに敗北するのですが、強さとは何か、という問いがボルドーから提示されます。難しい問いですよね。ペイルはいつか答えを出すことができるのでしょうか。老人の年になってなお、知ったかぶりをせずによく分からんがなと言えるボルドーは相当人間ができているなあと思います。あと、シエラにとっての首飾りは、ルフィにとっての麦わら帽子的な役割を果たすようです。
 物語の作中でローズの正体がルモグラフ将軍の娘だと明かされるのですが、名前アレルギーの私には誰だそれ、となってしまいます。知らない人の友達の話をされた時のような気分です。多分この辺り伏線になっていて、物語的に必要なのでしょう。
 シエラに負けたセピアはそのまま道中を共にすることになります。元スクレイ十傑であろうボルドー、首飾りの少女シエラ、元詐欺師ペイル、将軍の娘セピアの4人パーティの完成ですね。ただ、次に向かうイエローにコバルトと呼ばれるボルドーの旧知がいるらしく、このまま増えて行きそうな予感がして怖いです。
時間の関係上とりあえず今回はここまでにします。

       

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