Neetel Inside 文芸新都
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12月13日/不定形の空

夜空を見上げている。多分、何もすることが無かったから。
無数に輝く星々の天幕は今にも落ちてきそうで、うねりをあげている。
まるでゴッホの「星月夜」のような光景。
辺りを見渡すと何もない草原。
灯りがなければ、こんな世界が普段、頭上には広がっているのだろうと一人納得する。
ふと手に何かを持っていることに気づくと、錆びたカミソリ。
ゴッホなら耳を落としたりするのだろうけれど、私にはあまり必要のないもの。
そう思っていると、誰かがそのカミソリを譲って欲しいという。
何故だか渡すのが嫌になって断ると、無理矢理にでも奪おうとしてくる。
もみ合っているうちに、右手を深く切ってしまった。

       

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