Neetel Inside 文芸新都
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意志と表象としての世界
2018年12月

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12月10日/どこかの道の女性たち

暗く、何もかもが固い道を歩く。
周囲は雪に覆われている。
真っ白な世界は差異も無く、心を沈ませる。
不意に左側を見ると少し色付いた灰色の塔。ワシントン記念塔のようで、無機質で窓は無い。
歩いているうちにスーパーマーケットを見つけて、そこに立ち寄る。
以前、どこかでこれを手に取ったな、とカラフルなチョコレートに目をやる。
多分、夢の中だったんじゃ?なんて思っていると、不意にどこからか音楽が響く。
君は知っているんだろう?人知れず盗んだ林檎のような彼女みたいに、と誰かが歌う。
私が一番好きな曲。歪んだギターとサックス、そして掠れた歌声。
どこまでも切なく、深く、夜の底を思わせて。
それを照らす月のように歌声は響く。

       

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