Neetel Inside 文芸新都
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12月27日/きっと思い出したくないことばかりで

私はどうやらギター弾きらしい。
自慢するように、「熊蜂の飛行」や「太陽と戦慄パート1」
「剣の舞」などをものすごい速さで演奏している。
道行く人々は驚いて足を止めたり、チップを恵んだりしてくれる。
そこに、誰かが通りかかって声をかけてくる。たぶん、私が昔好きだった人だ。
二言三言会話をしたけれど、なんだか気まずくなったので
ギターを弾くことに専念しようとする。
けれども、いつの間にか手に持っているのは大きなベース。
手が小さいからかベースが大きいからか、指は弦を抑えられないし
そのうえ、ふにゃふにゃで音を出すこともできない。
どうにかして鳴らそうとしていると、周囲の人々は大きな声で笑っている。
そして彼も笑っていた。

       

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