ミシュガルド聖典把握記8

私、カーリマーターは見る神であり、
見せる神でもある。
ありとあらゆる万物を見、
またありとあらゆる万物に見せる。
夢のヴィジョンを、緑の草原を。
ミシュガルドに広がる、
夢のフロンティアを。


「またあの夢ぇ?」
ヴィヴィア、愛称、ビビ、
ビビことアルフヘイムのエルフの女性、
クラウス親衛隊最年少で、
ビキニアーマーの精霊戦士は、
夢のフロンティアの話が、
大げさに取り上げられているのに、
辟易していた。
「もっとさどぉっと来て、
 すぱぁっと去っていくみたいに、
 わかりやすければいいのにさ」
ミシュガルドでくいっぱぐれ無いように、
するので精一杯であるビビに、
夢のフロンティアの構想は分かっても、
それを理解して行動する理由が無かったのだ。
「また護衛仕事が増えるってもんだけど、
 開拓者の人も分かっててやってるのかねえ」
ただ、ヴィヴィアもクラウス存命の報が、
嘘だということは分かっていたものの、
どこか期待してしまうたちではあるので、
「まあ、夢の付添人、引き受けますか」


「あの夢か、おまえ死ぬ気か?」
芳しの丘のニコロは、
アルフヘイムはオウガ族の男性、
クラウス将軍の指揮下で副司令官を務めていた。
が、それは過去の話、
今は、ここミシュガルドで世捨て人同然となり、
辺鄙な場所に山小屋を建てて暮らしている。
そんなところに行き倒れがやってきたのだ。
「あんな夢に惑わされるから、
 行き倒れる羽目にあうんだ、
 これに懲りたら町で暮らすことだな」
ニコロは最近の夢のフロンティアへ足を運ぼう、
とする者達が、山小屋で行き倒れることで、
半ば、山の主とされ敬愛されるようになっていた。
もっとも、風貌を畏れられるのも毎度のことだが、
「俺はミシュガルドの原住民じゃ
 ねえっつってるのによ」
人間は容易に恐れを抱く。


「みんな、ありがとんがりコーン」
コーン=トンガリは今日も三角の秘密を、
武器に、街中を練り歩いていたが、
「お腹が空いたの?僕の頭をお食べ」
ほぼコーンを除けば全裸に近い格好ゆえに、
「股間のコーンはかじっちゃだめだよぉ」
などとのたまう始末である。
彼もまた夢を見たのだが、
「あそこの大地をコーンで埋め尽くしコーン」
コーン=トンガリは踊りながら去っていった。


「またか」
ダニィ・ファルコーネは困っていた。
捨てたはずのギターを、
クワァンタム・オブ・ソラス(慰めの報酬)
がすぐに拾ってきてしまうからだ。
まるで弾いてくれと言わんばかりに、
ギターの音色を訊いて、
ダニィのガーディアンとなった、
クワァンタム・オブ・ソラスであるが、
ダニィが強くなるに従い、
ギターを放棄しても憑いてくるように、
なったというのに、まだ名残があるのか、
「それはもう弾けないよ」
と諭してみても、ギターをすぐに、
ダニィのもとに持ってくる。
気付けば、ダニィも弾いてしまっている、
といった具合である。
「まったく、子供みたいだなお前は」


「ビビ」
「んーどうしたのレダ?」
レダ、アルフヘイムのエルフの女性である。
基本無口で話さないレダだが、
最近のフロンティア騒ぎで、
ビビに危険が及ばないか気にして声をかけたのだ。
「心配いらないよレダ、私、強いし!」
ヴィヴィアは意気揚々と、
受けた依頼をこなしに出立した、
「え、レダ、ついてくるつもり?」
「うん」
「うーんまいったな、
 絶対はぐれちゃだめだからね?」
ビビが無理をしないように、
レダが同行することとなった。


「お前たち、待ってたかい」
「ママ!」「母さん!」
コウモリ亜人のツィツィ・キィキィを母に持つ、
少年と少女、ディアスとモニーカである。
父親はなんと、あのディエゴ・コルレオーネ、
であるからしてコルレオーネブラザーズとされる。
「餌だよ」
「餌かよ」「餌だね♪」
取ってきた野生の鹿のような生き物を、
さっそく調理しだすツィツィは、
楽しそうにしていた。
「ねえねえおかあさんもあの夢みたの?」
「ああ、うん、見たよ、調子悪くなった」
「大丈夫、治った?」
「治った、治った、ほら出来た
 冷めないうちに食いな」
「わーい!」「わーいわーい!」
元気そうに野生肉をほおばる、
ディアスとモニーカを見てツィツィは、
「はあて、まったく誰に似たんだかね」


「広範囲魔法の疑いがあるわね」
フロスト・クリスティーは、
アルフヘイムの魔法監査官、
魔法監査庁、
第三種摘発科・特定魔法取締監査官、通称3特、
の女性である。緑の装束が見目麗しい、
「あの夢の続きは無いみたいだけど、
 なんにせよ、魔法攻撃だとしたら大変」
情報を多く仕入れなければいけないが、
確かに、似た魔法が存在しないことも無いのだ。
なにより念話や念写にちかい技だとすると、
かなりの使い手が夢を引き起こしたことになる。
「難易度は高いけれど、
 調べてみる価値はあるわね」


「ふーん、人の居ない大地ね」
ジュエル妖精は未だ人の支配の及ばない、
場所を求めていた。
なんにせ胸についた宝石を狙ってくる、
悪いにんげんがおおいからだ。
「ミシュガルドは人が居ないから
 いいのに、増えたらどうしようもないわ」
ジュエル妖精は身の危険を感じていた。
「はやく、違うとこに行きたいな」


「はぁあ? 夢ぇえ?」
ハチノス様は自らの蜜を狙ってきた人間を、
尋問していた。
「わらわもみたぞえ、その夢なら、
 じゃがどうして蜂の蜜を狙ったんじゃ?」
「ローヤルゼリーが欲しかったんだ!
 あれは高値で取引されるから!」
ハチノスの針で脅されて、
洗いざらい吐いた旅人は、
「そんなことでぇ?
 ぶーーーーん! やっておしまい!」
しもべのミツバチたちが次々と、
旅人に取りつくとちくりとやってしまった。
「まったく、人間とやらは
 関係の無いことで言い逃れを
 しようとしおるわ」


ミシュガルド開拓民は次から次へと現れて、
開拓を進めていったが、その中から、
数多くのはやすぎた埋葬によって、
羨む者達というゾンビになって、
村々に出没するようになっていた。
あの夢を見た以降より多く現れるようになり、
新規入植者も取り込んで、
数多く増えていった。
羨む者達は今や、ひとつの軍隊を出動しなければ、
喰いとめることができないほどの数になり、
やがてそれらを統べる王が現れるようになり、
ミシュガルドの人類の脅威となっていった。


「ねえ、ねえ! その夢って」
檻の中に居るのはアディ、
アディは天然キメラ人間、
SHWのとある富豪の獣姦マニアと、
あるキメラモンスターの間に生まれた。
今はこうして見世物小屋で、
再び各地にまわっていた。
「お前、クエスト依頼所で仕事してても
 よかったのに、どうしてまた見世物小屋、
 なんてのにはいってるんだよ?」
「えーと、これもクエストの一貫で、
 暴力のサーカス団に入るために、
 やっているんだよ」
「なるほど、こうやって名声稼いで、
 やがてあっちに入りたいってことか」
「というか調査依頼なんだけどね、
 おっと口が滑った」
ついつい昔の癖でよく喋ってしまった、
アディは見世物小屋に居る時と、
冒険者になっている時はまったくの、
別人のように振る舞うのだ。
「これはこれで楽しいかな?」


「バーローなのだ」
没落貴族なのだ。
「そうなのだ、悲しい事なのだ」
ロバの耳を持つ亜人なのだ。
「バーローなのーだー!!」
ミシュガルド探索バイトで、
日々を食いつなぐバーローは、
貴族の時の装束を着ながら、
見た目華やかだが、
食に困っていた。
「ヘビはいやなのだ」
苦手なものは蛇、
さてそんな彼(彼女?)に、
いかなるクエストが舞い込むのか、
「お願いしますなのだー!」


「ホロヴィズさまは何と言ってらっしゃるので」
リーリア・エルシィ(18才)、
丙家の傍流の出身、本家と比べて、
軽んじられることの多い彼女は、
丙家であることに異常な執着を見せる。
「丙家全体の利益が掛かっているのでしょう?」
武勲を立てようと躍起なのだ。
「私は丙家、やらねばならないのです」
最前線を背負って立つ覚悟は出来ていた。
「私は丙家私は丙家私は丙家私は丙家
 私は丙家私は丙家私は丙家私は丙家」
いま、強大なミシュガルドのモンスターを、
前にして、リーリア・エルシィの戦いが始まる。


「兄上がイラついておられると?」
レイン・フォビアは兄である、
ウルフバード・フォビアの無事を知って、
ひとまず安堵していたが、
次は夢のフロンティアの話で困難していると、
悟って、その比類なき剣術を生かして、
兄を助けたいと考えていた。
「兄様は僕の理想です、
 僕が兄様の剣となります」
ウルフバード同様、水の魔法の心得もある、
彼が、前線に立つとなれば、
甲皇国(丙家)もフォビア家も、
色めきだつだろう。
「必ずフロンティア奪還を成し遂げてみせます」


「シャルロットとルーはまだかしら?」
ボタン・フウキは16歳のハーフエルフ、
職業は姫騎士、
フローリア(アルフヘイム付近の農業国)
に住んでいたが、直後に戦争に巻き込まれ、
住まわせてくれた家族を失った。
「シャルロット・キャラハンは
 私の恩人ですもの」
現在はキャラハン家にお世話になっており、
彼女からは妹の様に可愛がられている。
特別な事情でついた姫騎士としての、
称号は何かと秘密が多いが。
「私の夢はフローリアの発展と復讐、
 あの夢のフロンティアも利用できる、
 ならいいわよね」


「どれどれ実験は成功じゃな」
オーボカ・ターとクンニバル男爵の、
細胞は密かにドクターゲコの手によって、
ミシュガルドの大地に入っており、
やがて再生される可能性もある。
「STOP細胞は万能じゃ!
 なんにでも良く馴染むワイ!」
ドクターゲコもまた、
STOP細胞、
その魔力に惑わされていた。


「・・・仕事は無いか?」
ユージーン・ユーガードはその機械の、
鋼鉄の体から、周りの人間から怖れられていた。
「あんたが出来るような仕事と言ったら、
 化け物相手にドンパチだろ?」
「・・・」
職業はSHWの傭兵、
元は甲皇国の乙家の令息で高い身分の人間、
であったが、
今や大戦でおった重傷から、
機械の体となることになった。
「・・・言えてるな、化け物を頼む」
ユージーン・ユーガードは、
ただ大剣を背負い、
戦いの地に赴くこととなった。


「あらいらっしゃい」
カルーアは酒場兼仕事斡旋所、
「ワーカーホリックのマスターよ」
アルフヘイムで酒場を切り盛りしているが、
「最近じゃミシュガルドへの斡旋も、
 行っているわ、特に開拓仕事が、
 多いから、お客さん、
 フローリアの出なら行ってみない?」
などと酒が進めば弁もたつのか、
「あら、またの機会にって?
 つれないのねぇ、うふふ」


アーネスト・インドラ・ブロフェルドの墓、
静かに佇んでいた、今や荒れた墓となっている。
手入れする家のものが居なくなってからは、
滅多に人が訪れることも無く、
ただそこに石としてあるのみであった。


「ふん、ふんっ!」
ミシュガルド・タートルズは興奮していた。
全身から麻薬成分を漂わせながら、
ミシュガルド人の上位者によって作られた、
とされる特殊な存在である彼らは、
「タートルズサン」
「なんだミシュガルドアリか」
ミシュガルドアリと奇妙な共存関係にあった。
「人間さん来ませんでしたか?」
「来ておらんな、特にメスは、
 ここらへんにまったくこん」
「まったくだ、上位者様に、
 示しがつかん」
既にいなくなった、ミシュガルドの上位者、
を前にどうするというのか?
「待つのみだ、上位者様を」


「ひえー、みんなどうしたんですか?」
「ふぉーでっけぇ!女!エルフ!」
ジャイアント・エルフ族のアビゲイルは、
二メートル半の身長を持っている。
良く目立つ、
「え、夢の話ですか?
 あたしもみましたよ」
「ほーアンタがみたんかい、
 アンタの高さじゃったら、
 遠くまで見渡せたろうな」
「はい山の稜線から輪郭まで、
 くっきり見えましたよ」
この情報がきっかけとなり、
彼女の夢の吐きだしによって、
おおまかなフロンティアの位置が、
わりだされることとなったのはのちの話、
となる。


「ぼくを食べてもおいしくないやい!」
リート・カンパネラはアルフヘイムに住む、
精霊の一種、魔法「ミュージカルパート」
等を使って楽しい人生を演出できる。
わけあってミシュガルドの大地にやってきた。
「そんなこというなよ、腹が減ったんだよ」
「にっげろー!!!」
みためはトナカイそのものなので、
人間から食べられないかが、
心配である。


「あの夢がそんなに尊いのであるか?」
姫騎士シェリル・カーゾンは12歳のエルフ、
フローリアに住んでいたが、
甲皇国に洗脳された記憶もある。
「悪くない夢であったが、どうしたものかな」
姫騎士として炭化魔法で炭作り担当として、
ミシュガルド入りを果たした彼女であったが、
「フローリアは荒れてしまったからな、
 ここにヒントを見つけに来たんだ、
 フロンティアがひとつのゴールなら、
 参入しないてはないかな」
果たして未熟な彼女に務まるだろうか?


「万国の労働者よ団結せよ!」
マルクス・コムニストゥス・プロレタリウスは、
ここミシュガルドでも甲皇国を一泡吹かせようと、
遂に働くカカシさんに手を染めてしまった!
かれの理想と働くカカシさんは利害が一致した、
ここに農地の為に戦う農民と働くカカシさんというコンビが、
誕生してしまったからである。
「我もとに集え!労働者よ労働者よ!」
波乱の幕開けであった。
当然、甲皇国の特級賞金首に該当されるのは、
違いなく、また、その派閥の大きさから、
一戦交えるのも戦争ごとになりえると、
危惧される。


「それは本当なのか?」
アーウィンはエルフ族の魔法戦士の家系に生まれ、
SHWで軍事教育を受けた後、
アルフヘイム正規軍軍人となった経緯があり、
先の大戦では将軍にまで上り詰めた男だったが、
今は暗殺を恐れて、隠れ潜みながら暮らす日々だ。
「本当なのだとしたら、
 フローリアの農業技術があらば、
 シェアを獲得することが出来るな」
まだ裏で、各エルフ達とのつながりを持つ、
彼は、アルフヘイムから世界の動向を、
伺っていた。
「悪くない時世だ、よくなることを祈るよ」


「悪くない夢だったな」
ジャン=ピエール・ロンズデールは、
甲家、丙家、乙家のどの勢力にも属さない、
生粋の甲皇国軍人。
戦時中に失った鼻の部分に専用のマスクを、
着けているのが特徴で、
常にハンカチを持ち歩いている。
「ただ、いかんせん全員がみるとは、
 気色悪いにもほどがあるというものだ」
彼もまた、前線に動員されることになる、
このまま小規模な小競り合いが続くのだろうか?


「ゴンザ時世が来たようだぞ!」
「イエッサー!ゲオルク様!」
夢のフロンティアに向けて、
ゲオルク・フォン・フルンツベルクは、
より前線に進みつつあった、
ゴンザはそんなゲオルク王を助ける、
ゲオルクの傭兵、
元々はSHWの海兵隊出身だが、
その才を生かして最大限活躍する。
「ですが旦那ぁ給金はでるんですか」
「スポンサーはSHWだ、期待してよいぞ」
「ふへへ」
ハイランドの王、夢のフロンティアに立つ、
この一報を巡って、新聞社も動き始めたのだ、
ゲオルクの名声があれば、より一層、
周囲の人間も色めき立つだろう。
「旦那はこう金のニオイがしますぜ、ホント」


バーナード・スミスの墓に花冠が手向けられていた。
甲皇国で彼を知る人は多くいるが、
彼が戦地で敷いた善政の采配から、
未だに命日には足しげく通う人の列があるのだ。


「あの草原を少年少女にも見せたいんだ」
ザキーネ・パヤーオの野望はSHWの、
アニメ映画製作の話題から一躍、
表舞台に浮かび上がってきた。
「夢で見たあのヴィジョン、
 動く絵で見たいとは想わないかい?」
かくして彼のアニメ映画人生が始まった。


バルザックの墓は静かに佇む。

「ミシュガルドのモンスターは武器になるねえ!」
ドイール・スミスは何とか生き抜いていた。
ハンター精神で連戦連勝を果たしていたのだ、
「はっはー、きやがれ大ボス野郎どもが!」
はたして、どこまで強くなるというのか!


オリエント製SCP-114514型 コイシは、
オリエント遺跡から発見されてからというもの、
静かに佇んでいた。
「これの調査は進んでいないんだ」
大交易所のとある場所に留置してある、
彼女が起動する日は近いのか?


「ひーかゆいかゆい」
エルカイダの戦うかさぶた人間は、
黒騎士にヒカリゴケを喰わされた後遺症。
高鳴 真造 は、その体質を武器に、
今や戦闘において無敗を誇っていた。
「でもかゆいんだよなかさぶた」
だからひっかいてもらうと、
「うほっきもっちぃ」
堅いかさぶたを引きはがさんと、
襲ってきたモンスターの刃さえ、
心地よく感じるかさぶたの強さ。
「じゃあ留めいっちまおうか!」
強力なかさぶたパンチをお見舞いすると、
モンスターは絶命した。


「それが丙家の方針なのか?」
スカルチノフは甲皇国出身、
特殊な体質を持ち、
あらゆる物質を分子分解し、
新たに有機物を構築できる、
立方体以外は複雑なので出せないらしいが、
「ところで黄金立方体を知っているか?」
謎の多い人物である。
彼の体質は、甲皇国の研究結果だとも、
されているが、その全容は明らかではない、
「あの夢の場所にあるのなら、
 行かぬ手はないな」
そういって地面に手をつくと、
巨大な石柱を出して飛翔し、
最前線へと志願したのであった。


またしても多くの人物に、
夢を届けることに成功したが、
まだ足りぬ、
もう少しで届く位置にあるだろう、
その夢の行先を、
どうかカーリマーターを
見守りたまえ。
おお。

出典

ミシュガルド聖典キャラクター第八登録所

http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18550