おばけと魔法と

タイトル :おばけと魔法と
作者名  :もち
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突然だが、俺はRPGは固定パーティーが望ましいと思っている。
経験値が戦闘メンバー以外に入らない場合レベル上げが面倒、装備をいちいち付け外しするのが面倒、パーティーに入れないと会話が発生しないからちょくちょくメンバーを入れ替えないといけなくて面倒。入れ替え制はとにかく面倒尽くしだ。
育てていないキャラクターを強制的に使用させられるシナリオがあったりなどすると面倒ここに極まれりである。FF6は攻略見てないとたぶん発狂してた。シャドウとかシャドウとか。
俺は【パーティー全員が揃った時点で全員同じ値だけ経験値が与えられているとして、一人だけ死んで経験値入らなくなりレベルがズレたりでもしたら反射的にリセットしちゃう】体質なのでそこの判定はどうも厳しい節があると思う。
らんだむダンジョンは裏までクリアした(ような記憶はある)が、ざくざくアクターズは表クリアでもういいやってなってしまったのも多分それが原因だ。
そんな俺が手放しで褒める【キャラが多い四人パーティーゲー】があるとすれば、まず挙げられるのがこの作品であろう。

「おばけと魔法と」は製作者もち氏の前作「天使のうつわ」の間接的続編(でニュアンスは伝わるだろう)なため、まずは天使のうつわの紹介を軽く。
公式曰く、

>天使の女の子がとある目的のために下界に旅立つ、
>のんびりだらだらファンタジーRPG。だいたいゆるい。

とのこと。
可愛らしいグラフィックと話的には結構大事になってるのにのほほんとした雰囲気。
を、【クリアまで16時間~ぐらい】の文字が現実に引き戻してくれる。
油断してると雑魚にボコられる難易度! キャラがちょこまか動くサイドビュー戦闘!!
【一週目で勝てるわけねぇ】敗北イベント! 【に勝ってしまえる周回要素】!!
アイテム図鑑に魔物図鑑、武器図鑑にアクセサリー図鑑! アイテム合成要素!! 料理に裏料理も完備!!!
そう…このゲームは「フリーゲームはホラーしかやったことないけどこれは絵がかわいくて興味ある」…なーんてライトゲーマーを一撃! の元に沈める、
見た目とは裏腹の【ゴリッゴリのやり込み系本格RPG】なのである。
主人公は喋らないし顔グラの都合上【基本】無表情な天使のアホ毛少女、レイスアール…通称レイス。戦闘勝利でちゃんと笑顔になってるのが見えるぞ。
立派な羽があるけど高いとこから落ちるとべちゃって倒れるし自分のジャンプでも着地失敗するどんくさそーな女の子だが、後世での彼女は…。
そんなレイスはある目的のため天界から旅立つ…のだが、飛び降りた先は魔界の牢獄。このままでは天使の煮込みうどんにされてしまう!! と言ったとこから物語は始まる。
まぁ健全な全年齢ゲームなのでエロシーンはもちろんガチリョナシーンなんてあるわけもないからそこらへんは安心。
よかったなレイス! 製作サークルが青色ハッキョウダイオードじゃなくて本当によかったな!!!
個性豊かな仲間達を加え、そして立場的には敵対する人物達をザッピングで操作しつつレイスアールの旅は続いていく…と言うのが天使のうつわの概要となる。

で、おばけと魔法と。
公式曰く、

>おばけがたくさん住み着くおばけの館。そこを中心に繰り広げられる
>おばけと魔法のまったりどたばたファンタジーRPG。だいたいシリアスなどない。

とのこと。
より可愛らしく進化したグラフィックと話的には結構のっぴきならない状況になってるのにゆるりかとした雰囲気。
を、【クリアまで21時間か35時間~ぐらい】の文字が現実に引きずり出してくれる。
なんだよ21時間か35時間くらいって! 前作のプレイ時間くらいに幅があるんですけど!!!!
というツッコミからもわかるように、ボリューム、やり込み要素は更に強化。
何より、俺が知る限り全てのゲームにおいて圧倒的【俺の拠点!!】感を誇る実家のような施設、『おばけの館』。おばけの館奪還作戦はフリゲ史上に残る名イベントだよ。
【俺でも描ける】くらいのゆるゆる幽霊が何十体もたむろっており、会議室ではどーでもいい会議をしており、食堂ではすしづめとなって食事をしていると言うとんでもないまったりもったり空間だ。
そこに住む四人の少年少女もまた、『おばけ』に近い存在となっている。
おおかみ魔女のみかづき、吸血鬼のカロン、ミイラのムム、ラミアのメルル。
一応物語全体のメイン主人公としては記憶喪失の少年、セラがそれに当たる…のだが、前作に引き続いてのザッピングの多さと【ちょくちょくセラと敵対する】場面が多いので、少なくとも一週目の感覚的には四人のリーダー、みかづきが主人公っぽいところはある。
それに加えておばけの館組とは敵性となる勢力、魔法結社組の操作もプレイヤーに委ねられることとなる。更にはどっかで見たような容姿をした少年、謎の魔剣、すしづめ食堂に紛れ込んで飯を食っていた女忍者…
バラバラに動く彼ら全員を巻き込みながら、いつしか話は収束していく…。
おばけと魔法と、そして天使のうつわ。ゲームとしてはかなりヘビーだが、実のところ登場人物の置かれた状況も決してライトではない。小さな諍いから世界規模の危機まで、彼らにはゆったりしている時間は少ない…
はずなのだが、リアルタイムで状況が進行しないため【プレイヤーにとってはそんなの知ったことではない】。世界の危機でも、思う存分ゆったりまったりしよう。

この多人数の(概ね)全員を動かしながら纏め切り、なおかつプレイヤーに解釈の余地を与えるシナリオ、上にて散々述べたゲームとしての歯応え…など長所を挙げれば色々あるが、
やはり一番二番は雰囲気とキャラクターであろう。総じて言えば、世界が素晴らしい。
はるか昔に封印された夢魔の長である女性…同人エロゲだったらどう考えてもラスボスだろって設定をしているが、このゲームにおいては【そもそもサキュバスですらない】。
バイキン妖精のような見た目をしたザコ夢魔達を従えるイタズラとお菓子が大好きのおバカ少女、ブラッティ様である。
当然、エロ要素など微塵の微塵も出てくることはない。この世界の夢魔は淫魔とは無関係なのだ。
更に、魔法結社の女幹部と言う肩書を持った人物。商業エロゲだったらどう考えてもエロい服装、エロい体形、そしてドSに違いないはずなのだが、このゲームにおいては【天然入ったおっとりお姉さん】だ。裏があると思うだろう。本当にないぞ。フェルメールさん好き。
まぁもう一人の方はちょっとそれっぽい所はなくもないが…
と言ったように、このゲームのキャラクターは敵対することは多々あれど、結構長い時間自分で操作することもあってどうにも嫌いになれないのだ。この話の最初に書いた、パーティーが固定ではないのに好きだといったのもそれが大きな要因だと思う。
パーティー外の面々も個性的なキャラクターが多い。おばけの製作者であるホワイトはかせとか顔グラ(と性格)でロリかと思ったら一児の母だったりするしな!
しかも女性や女の子が可愛いのは疑いようもないが、ぶっちゃけ一番可愛いのは少年であるカロンとムムだ。助けて! 全年齢ゲーが僕の性癖を捻じ曲げてくる!!

普段はツクール歩行グラ体形の仲間が敵で出てくると頭身変わっててしかもそれが図鑑に載ってどうでもいい一言解説がついていたりと俺の「そうだよ! そういうのが欲しかったんだよ!!」って所をピンポイントで抉ってくるゲームでありました。
HDDを移し替えた時にミスか何かで【データが全部ぶっ飛んだ】のが未だに惜しまれる。誰か一週目クリアデータ下さい…てきとープレイでいいから…
もち氏は現在制作作業を行っていないようだが、できるならなんらかの形で次回作を出してほしいところである。
…昔のフリゲ作家で今も精力的に活動してる人なんて一握りだけどなそもそも……
時間が有り余っていて少しでも興味があるなら、是非ともプレイして頂きたいシリーズだ。








そんな感じ。