メモリーズ3

はあ。はあ。と漏らしていた息が少しづつ安らかに落ち着いていく。
力が抜けて四肢を投げ出している姿が自然で美しい。

空ろな眼差しのまま横たわっているアンに口づけをする。

呼ばれるように唇を合わせて来る。

「イチロ。」彼女がつぶやいた。

さっきまでいろいろしゃっべっていた自分に気恥ずかしさを感じ
ながら、だけどこうなっては返事をしないのもヘンだと思いなが
ら。

「なんだよ。」応える。ぶっきらぼうだった。
ふふ。とアンが笑う。
「イチロ。やらしー。びっくりした。」目が笑っている。
「オレも。びっくりした。うん。やらしーかも。」思わず笑って
しまう。

坊さんに始まるドタバタも、快く思っていなかった姫の態度も昔
のことのように思える。

「イチロはどう。なの。」
彼女は身を起こし、手を伸ばす。その先には下着に覆われた俺が
カタチを現している。

てのひらで下から、じれったいほどの動きで撫で上げ、また降り
て行く。
くすぐったい刺激を避けることができず手の動きを目で追う。自
然と両足が開いて招き入れている。「はあ。」と息が漏れる。

気付くと、アンが目を細めてじぃっと見ていた。
ずっとこの様子を見ていたのだ。
さっと横を向いて目をそらす。

「へえ…。」撫で回していた手は指で輪をつくり、俺を根本から
包み込むようにして擦り上げ、擦り下げる。その先端を面白そう
に見ている。

「このイチロは素直で正直な、いいコだなぁ。こっちのイチロは
どうかな?」擦り上げる手の動きを早めながらニヤニヤと笑って
いる。
あのときの「姫」だ。

「イチロ。いいんだよ。イチロがしたいようにすれば。」

俺はゆっくりと体を開き上下する手の快感に身を任せていた。

「ふーん。コレがイイんだあ。」握る手の力が少し強くなる。
動きが速くなる。

「あっ。あ。あ。あ。あ…。」
だらしなく口が開き声が出てしまう。

「イチロ…。ほら。ここ。染みになってる…。」指先で、敏感に
なった先端を撫でる。
背中にぞくぞくする感覚が走る。
下着の上部から侵入して来た手が俺をそっと包み込み。ゆるやか
に撫で始める。

「イチロ…。見せて?…。」上目遣い。
両手で下着の上部を引っ張り、下げ降ろしていく。

「あは。ピクピクしてる。えっちなニオイ。はあ…。イチロ…。ん。んん。」

手とは違うぬるりとした温かい感触に先端は包まれ、その小さな
溝に沿っていたずらな刺激が走る。
両足の間に顔を埋めたアンの口元から俺の先端が見え隠れしている。

心が満ちる。
雄としての支配欲なのか。
アンのしぐさが健気でうれしくなる。
同時に背筋を走る快感。たった一箇所への刺激に自分の全てのコ
ントロールを奪われ、支配されている気持ちにもなる。
彼女の唇が上下する度に背筋を走る快感。
髪を撫でようとして伸ばした手は意思を失いだらりと降りる。
両足はますます開き全身で「欲しい」を現してしまった。

だが、アンは口を離した。
おや?と目を向けるともじもじしている。

「ねえ…。イチロ…。しようよ。」