Neetel Inside 文芸新都
表紙

お前らのユートピア
Good luck Charlie!

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嫌なほど汗をかいていた。
「ひどいゆめだ」
自分は全く覚えていないが悪夢を見ていたらしい。全身に嫌なほどドロドロとした汗が服に張り付いていた。ベッドから体を起き上がらせ、枕元に置いていたセブンスターと安物のライターを取り、火を付けてふかした。白濁とした煙は黄ばんだ壁に飲まれていく。
埃の積もったテーブルの上には昨日食べ残したカップラーメン、スナック菓子が机上でばら撒かれていて自分はそれを摘みながら煙草を嗜む。
口から流れ出す煙は秋だというのに未だに生温い部屋に漂っていく。口に詰め込まれていく菓子は湿っている。口から零れた唾液はテーブルに落ちて埃を纏った。
「うーっ、うーっ」
今日も昨日もずっと隣の部屋からは甲高い唸り声が聞こえては止んでの繰り返しで頭がどうにかなりそうだった。壁が薄いのか? 隣のヤツ最近ずっとずっと唸ってやがる。うるさい。ダメだ頭が痛い。うーっ、うーっ、って、ずっとずっとずっと聞こえてくる。
「ウルサイ」
……うるさい。
うるさいうるさいうるさいうるさい!
どうしようもない怒りを足へと委ね、部屋の壁を蹴ると、ヒッと怯えたような声を上げて黙り込んだ。やっと静かになったけど、あ。壁、へこんだ。穴は開かなかった、壁薄くなかったのか、でも、へこんだ。ぼくのあたまもへこんだ。あーあ、どうしよう。あたまいたい。頭がずっと殴られてる。
ガンガン、ガン、ガン! ガン……、ガン、ガン、ガン。
「アタマ、イタイ」
灰の積もった煙草の火を消した。

       

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