Neetel Inside ニートノベル
表紙

地獄の沙汰も愛次第
【助けた亀に連れられて】

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先日いじめられていた亀を助けたところ
「お礼に竜宮城へ案内します」
といわれた。

何やら面白そうだったし
記事のネタにできそうだったから(俺の本職はライター)
言われるがままについていった。


すると頭のわるい人間がわんさか居る
安い居酒屋みたいな場所に案内された。

薄明りの中でジョッキで酒をあおりながら
テンションの高いバカっぽい人間が大勢いて騒いでいる。

「ここが竜宮城です~生ジョッキ200円です」

「ん~じゃ、ハイボールで!」

俺は居酒屋ではハイボールしか頼まないタイプの人間なので
とりあえずハイボールを注文した。


すると美人で若い、けっこうイケてるお姉ちゃんが俺の横に座る。

「ねぇ、あなたウチの亀を助けてくれたんだって?」

「まぁ、いじめられてる亀を助けてみた…って話けっこうウケるかもって思ったんでつい…」

「ふふふ、正直な人ね♥」


ちなみに俺は小太りでフツメン。
年収は350万円だ。

そのことをお姉ちゃんに伝えると、期待していたのとは違うリアクションが返ってきた。

「ねぇ、今夜は遅くまでイケる?」

ふぅむ。もうちょっとこう…面白くなりそうなリアクションを求めていたのだが…。

俺は首を横に振る。

「すまない。俺は帰って猫のキャットフード食わないといけないから」

ちなみに俺はキャットフードはちゅーる派だ。

しかし、俺の言葉を聞いた瞬間 お姉ちゃんの顔色がみるみる変わっていく。
「あんた、あたしをなめてんのか!!」
いきなりキレられた。
意味がわかんないよ!
「えっ? なんですか急に!?」
「あたしゃ 男を引っ掛ける仕事してんだよ!!」
「そいつは失敬」
どうやら俺は勘違いをしていたらしい。
さっきまでの上品な雰囲気から一転して このチンピラ感である。
「あー、悪いけど俺帰るわ」
こういうノリは苦手だし俺は金がないからこんなところで遊んでいる場合じゃないのだ。
「あっ、待ちなさいよ!! まだ話は終わってないわ!!」
お姉ちゃんが俺の腕を掴む。
う~ん、しつこい女だぜ。
俺は振り払うようにして彼女の手を振りほどいた。
すると、さらに彼女は激昂した。
「あんたのチンポコ、ジジイなんじゃないの!?」

こともあろうか、俺の股間のブライトソードをジジイ呼ばわりしてくる…もうやだ。

「いや、現役だよ。ただ俺だって相手は選ぶ」

「ここじゃあ70歳の男だって年齢を忘れてビンビンさ!!
別名竜宮城って呼ばれてんだ!なのにアンタと来たら…年齢は若そうなくせして枯れてんじゃないか!」

そうは言ってもなぁ…。俺が黙りこくってしまう…。
正直、女のヒステリーって超絶苦手なんだよな。

前の彼女の時もこうして黙ってたら
「アスペかよ!!」って言われてフラれた経験がある。

俺は意を決して鞄から一冊のロリコン雑誌を取り出した。

「申し訳ない。俺のストライクゾーンはココなんだ」

すると彼女は目を丸くし、冷や汗を拭きながら急によそよそしい態度になる。

「あー、うん。なんか色々しんどそうね?ま、ドンマイ?あたしもう帰るね…」

そういって席を立った彼女はそのまま店の外へ…。

「へへ旦那…やりましたねぇ♪」
亀がにこやかな笑顔で俺をタップした。

「なぁ、お前はなんで俺をここに連れてきたんだ?」

「あっしの趣味は人間観察でやんす♪さすがに万年も生きてると毎日が退屈で~~」

どうやら俺は一杯食わされたようだ。

       

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