Neetel Inside 文芸新都
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「あっ!相田氏と橋本氏ではありませんか!」

はっと振り向くと、そこには金田が居た。
金田 長本。彼の本名だ。職業はリーマンだ。
彼の容姿は俺でさえお世辞でも良いとは言えない容姿である。
その上、本人には悪気は無いのだろうが、少々寒気のする話し方、
人目で少し近寄りたくないと思ってしまう服装。
しかし、性格はまったくもって正常であり、思いやりのあるひとである。
どちらかと言えば、俺のほうが性格はひねくれているのかも知れない。

大声で俺達の事を呼んだので、駅に居る我等の集団以外の人も彼を見ている。
気の毒だが、大方、心の中で叫んでいる言葉は予想がつく。
橋本は、すこし顔を横に逸らし静かに悪態をついた。
別に橋本と金田は仲が悪いわけでもない。
しかし、他社の視線を浴びるのが苦手(嫌い)な橋本にとって、
金田の行動は軽率であった上、そうでもない俺でさえ心で舌打ちを済ませた。
さっき話した通り性格に異常は無いが、恥が無いというか、迷惑というか。

小走りでこちらに向かいながら挨拶を済ました後、
俺と橋本の前に着いたや否や、

「今日のオフ会は楽しくなりそうですね!」

と先ほどよりは音量が下がっているものの、またもや大声で話しかけてきた。
先ほどジロジロ見ていた人々も、歩きながら横目で軽蔑するように見てきた。
ジャージ姿の中学生3人が笑いながらこちらを見ている。まったく・・・。

「ちぃーたぁ静かにしろ、馬鹿」

すかさず渇をいれた橋本。
自分の行為が恥ずかしくなってきたのか、頭をかき始めた。
金田の癖だ。恥ずかしい時に頭を掻く。
やっとこいつの暴走が止まった時、欠席を抜かした予約者が全員そろった。
目で数えてもざっと15人ほどは居る。皆暇なんだな。
少し橋本と金田と俺で雑談をして、皆が動き始めたので、それにあわせた。

こんな何も無さそうな県にもカラオケやゲーセン、ボーリング場はある。
今日は2次会までの通常のオフ会であった。
一次会はカラオケであった。俺は歌はうまくないので、皆の歌を聞いていた。
でもさすがに空気を読んで一曲歌ってみた。
すると俺もエンジンがかかったかのように乗り始めて、1時間が経過した。
結局歌った曲数は7曲。喉が潰れるかと思った・・。

二次会にて橋本と合流。金田は他のグループに行ったみたいだ。
二次会は焼肉店。二階建ての立派な焼肉店で、
良品良質、床や窓も綺麗で、素敵な(?)焼肉店だった。
だいたい、二皿ほど頼んだらドリンクバーで時間潰しだった。
俺は橋本と長々と雑談に明け暮れていた。

       

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