Neetel Inside ニートノベル
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 慌てて振り返るが、驚きすぎて思わず震えた手の中から、持っていたものを取り落とす。
「あ、落としましたよ~」
 混乱する私が拾い上げるより早く、とととっと駆け寄ってきたドラえもんがそれを拾い上げるのを見て、私は血の気が引いていくのを感じた。
 そして、
「ねぇ、お父さん、これなに?」
 困惑した顔でドラえもんがこちらを見てくる。彼女の手の中にはハンディカムビデオが収まっていて、その小さな画面には、鼻歌交じりにのび太の部屋を掃除する彼女が写っていた。
「ははは」
 笑うしかない。
 終わった。
 何もかもが終わったのだ。
 不思議と冷静になっていく私は、『娘に盗撮していたのがばれたんだが』というスレを立てるか立てまいか、それだけを考えていた。
 

       

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Neetsha