Neetel Inside 文芸新都
表紙

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父の耳がひくんと動いた。眼から急速に酔いの色が引いていく。
冷たい眼をしながら独り笑い続ける様はさながら宗教画のようだ。見るものを飲み込んでいく。


「かかか………正直だねぇ……体以上に正直ってとこかなあ、あはははは」


誰も笑わない。笑えない。冷めた眼をして笑い続ける父はつまみを仕舞っていく。
馬鹿が…、と右京の太ももを強くつねる。もういい、お前しゃべるな。


「おぅや、今のはワシのとっておきのジョウクなんだあがねぇ…、あっかっかっかっか……。それともなんだあ、笑えなかったてかあ?」
「親父、俺が頭を下げる。右京はつい口に出してしまっただけだっ」固まっている右京の頭を右手で押さえつけ、一緒に反省の意を示す。


親父は固まっている右京を俺から引き離し顔を向けさせる。


「なあ、右京君や。こいつの友達じゃなかったら、な?それぐらい察せるよな、ああん?ウキョー君?」
右京は答えられなかった。答えられるはずがない。肩に手をかけているように見せかけて、首を絞めているからだ。

右京の眼から色が消え始めた頃、ようやく父は右京を解放した。

「でもまあ、正直なのはええこった。…ってちょいと力入れすぎたか」

「話はおわっとらんっ、」


デコピン。


「ぞっ、と…」
眼を覚ました右京はおどおどして、

「あ、あのう…、どなたですか?僕、数分前からの記憶がないんですけど…。」
あらら、ちょっとトンじゃったみたいだ。



「……それにしても、お綺麗、ですねえ…。見とれてしまいます」


「………………ぷっ」




ぶわはははははははははは、とご近所迷惑な声を張り上げて父が吹いた。



その後右京はウチで飯をもご馳走になり(ちなみにまだ母は寝ているのである)、おいとまする、といいだしたが、


「なぁ、今日は泊まっていかんか?…なぁ?」

最後だけ眼の色を変えて父が迫る。可哀想に右京はかの一件のことがあるため、本人が忘れていても潜在的な何かが父の眼に逆らえないようになってしまったのだ。

「…Oui, monsieur」



母も復活し、妹も帰ってきた。余談だが、右京をはじめ父母ともにこの場面には俺の妹なる人物が居たそうである。
生まれてこの方兄弟姉妹は姉のみと思ったが、妹も居るらしい。初耳だ。いつか意識してみてみたいものだ。

「ようし、これから右京君もわがファミリーの一員だっ」
「てか俺今まで空気だったよね(おい、親父。それどういう意味だ?)」
「兄ぃ、考えがそのまま口に出とるよ」

これが妹の発言であるらしい。俺はまったく覚えがない。「にぃ」なんて呼ばれているらしい。小っ恥ずかしい。

「右京君もこれから我がファミリーのイベントに参加することが義務付けられた、ってこった」父は椅子の前足が浮くほど背凭れに体重をかけ、説明した。
「…といいますと?」右京が聞き返す。
「早い話、ゲームに付き合えってこった」最近語尾が父と変わらなくなってきてキャラの区別が付きづらくなっている俺がそうつぶやいた。
「右京も兄ぃから聞いとらんか?…ウチは家族そろってギャンブルが好きだでね、いろんなことにつけて賭けをするの」

こいつ初対面、のはずだが、そんな相手をもはや敬称無しで呼んでいる。図々しいこと極まりない。てかこいつの立ち位置は何だ、説明役か。
説明役は本来俺がモノローグや台詞でやるんだけどなあ。語尾で区別が付きにくい、突如現れた妹とかいうのに立ち位置取られる、このトンデモ文の中で俺は必要性があるのだろうか。
だって、会話文がずっと続くと飽きるじゃん。特にうまく口調とかで区別しないと誰が言ったんだかわからんことになるし。
だって某SOS団も物語に重要なところ以外は全て主人公のモノローグじゃあないか。それなのにこのトンデモ文ときたらよくわからん妹みたいな奴が俺がモノローグで済まそうと思ってるのを変な田舎づかいで喋りやがるし。
なんだ何だなんなんだ。あの妹とか言う奴は。まさか右京や親父らがぐるになって俺を嵌めようとしてるんじゃあなかろうな。あああああああああ。
なんだなんだよそういうことか。お前さんがた俺含め読者の皆さんを愚弄するのが趣味なのか。
ただでさえ運営さんに叱られ、“文藝新都の面汚し”、“国辱ならぬ社辱、いや誌辱、というより物書きの便所にも置きたくない”、“濡れ煎餅に入ってる乾燥剤”、“てかラフメイカーとか誰っすか?wwwww笑えねぇw”
そんなことを呟かれているのに。あああああああああああああああああああ。畜生。あああああ。そもそも感想すらこねぇよ。あああああああああああああ。
呟かれるも糞もそもそも話題にすらなってねぇよ。感想スレ見てみろ。ああああああああああああ。あああああもうアレだ、作者っ。お前ラフメイカー廃業して裸婦銘菓になれ。あああああああまたギャグみたいになったくそ面白くもない。
裸の女、しかも人妻だろ、そんな人をかたどった銘菓、まあ人形焼だろうな、そんなの喰えるかっつうんだ。てかお前の名前ごときで一行も費やすんじゃあねぇよ。
それにあれだ。お前いちいち挟むギャグだかなんだかが無性に寒いんだよ。“あいとぅいまてん☆”じゃねえよ。いつのネタだよ。エンタでもこのごろみねぇだろ。
あとその☆っ。いらん。現実にこんな口調の奴が居たら読者の皆さんもそうだと思うが、張っ倒すだろ。多分。
“○○兄ぃのためなら、妹、なんでもできちゃうもん☆”とか今書いてみたけどきめええええええええええええええええ。書いててえっらい寒気したあ。けど、SS職人さんとかが使うと様になるんだよね…。憧れるなあ…。
てかここで妹だすな。妹はNGワード。いやだ。とにかくだすな。
それで元の話に戻すけd…

「兄ぃ、長い。非性的な意味で。それならむしろ“短い・早い・小さい”」
「じゃかあしいわ」
「さっきから結構な量を私の文句に使ってたけどさ「待て」」

「…ここの話って今、母が料理をしなくなった原因のギャンブルについてだろ?」
「うん」
「…てことはこれ過去の話だよな」
「うん」
「じゃあなんでお前が俺と会話できるんだよ」
「…お呼びでない?こらまたどうも失礼しやしたあっ」

意識が遠のく。

「あ、待てこらっ。まだ肝心のギャンブルの話してないっ」
「書いたって読まないでしょ、誰も」
「ちょっとだけ余裕くれよお」
「めんどくさい。私が読む」妹…じゃなくてまあ、年下の女だ。うん。その年下の女はポケットから台本のようなものを取り出した。


遠のいた意識が若干帰ってくると、
「あ゛あ゛ぁ゛ーっ。あ、あーッ、うん。よし。」
俺はいつの間にかどこかのホールに居た。壇上にいる年下の女は声、顔つきともにだんだんと大人びていく。
そして、プロ顔負けのナレーションを見せ始めた。

       

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