Neetel Inside 文芸新都
表紙

ぽちタマ
いつもどおりじゃない

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いつものように朝を起きて 
いつものようにペットにご飯を上げて
いつのように朝飯食って
いつものように学校に行き 
いつものようにボロアパートに帰ったら
いつもじゃない光景が目の前に広がっていた。



遡る事一時間前。
今日も俺は面倒くさい授業を受けたあと家に帰っている途中だ。
もちろん部活なんてのは入っていない。だって疲れるからな。バイトはやってるが今日は偶々休みだ。さっさとぽちとタマにでも餌をやろう。
ちなみに俺は一人暮らしをやっている。まぁ金があるわけじゃないのでボロアパートだが。親の仕送りとバイト代だけが俺の生命をつないでいるといっても過言ではない。
しかし一人暮らしになっても親の金を必要とするとは………どんだけヒモなんだ。
しかしながら最近思い出した事がある。
昔、一人暮らしするときのためにとバイトしていた頃全部銀行に入れといたのだ。
気づかない俺は馬鹿であるがやっとこっさこれで一人立ちできるというものだ。
何年間かためこんだからこんなところならあと何年もいられるだろう。
しかし実はペット飼っちゃいけないのである。
しかし密かに飼っている俺はばれたらただではすまない。
犬の方はまだ子犬かと思われる。猫のほうはまぁ仔猫だ。
たぶんばれないだろう。
何時の間にか家の前についていたので鍵を取り出してあけようとする。
すると何故かひとりでにドアが開いた。
なっえっ、ちょ! 泥棒っすか?!
開いた先には俺のパジャマだけを着た女の子が一人。ぶかぶかだ。下はない。と、思う。
「お帰りなさい御主人様!」
その子は元気よくそう言って俺に抱きついてきた。
今俺の頭の中は大変な事になっている。
考えてみろCOOLになれ! いや、KOOLになるんだ三浦和人!
あ、ちなに俺の名前は三浦和人だ。
少女といっても年齢は俺と一緒かもしれない。
少女はさっきから俺に抱き着いてはなれようとしない。どころか顔を俺の旨胸にうずくませながらぐりぐりやって何か呟いている。
「はぁはぁ御主人様の匂い御主人様の匂いはぁはぁ」
いや、ここはあえてスルーしよう。
ちなみに御主人様などと俺はそんな趣味は断じてない。おれはご主人様が好きだ。
ていうか俺には生まれてこの方彼女なんて出来た事がない。仲良くなってなれるかもって思うと何故か皆一様に俺を避けるのだ。別に俺は関係ないらしい。一人が俺に言ってくれたのだが
「三浦君自体は別に悪くないよ。ただちょと周りがね」
とか何とか。全く持って意味が分からない。そのたびに俺は絶望したものだ。そんなときは絶対に妹がやってきてくれて落ち込んだ俺を慰めてくれる。
「兄さん、大丈夫ですよ兄さんには必ず一番兄さんの事を知ってて一番兄さんの事を思っている相手と結婚できますよ。だから別にもう落ち込まなくてもいいんです」
と。いや、よく出来た妹だ。妹に慰められるなんてちょと恥ずかしいが。
とと、話が脱線してしまった。まずはこれが現実かどうかだ。
頬をつねってみる。やっぱり痛い。ああいたい。痛い。ちょ痛い! 痛い!
何時の間にか少女は俺がやったように頬をつねっている。
俺がいたそうな顔をするとやめてくれたが危ないところだった。マジで伸びるかと思ったくらいだ。
まずこれは事実で現実だ。おk。把握した。今俺がやるべき事はできればこの子を引き剥がしてさっさと家に入ることだ。一番の優先事項は家に入ること。誰かに見られたら洒落にならん。よし、決まったらさっさと中に入ろう。
「抱きつくのやめてくれないかな」
「ぶーぶー」
無理そうだ。
「じゃあ家に入るからどいてくれるかい?」
「はーい」
今度は素直に従ってくれた。
ドアを閉めて靴を脱ぐとどすんと肩に重みが。 
後ろを見るとさっきの少女が俺にまたしても抱きついていた。
「ちょwwwおまwwww」
「御主人様にこうするのが私のユメの一つなんです」
あ、そう。まぁいいからさっさと部屋に行こう。
と進んでみるとテレビの音が聞こえる。
えっ嘘? ああ。この子が見てたのか。
まったくちゃんと消さなきゃ駄目だろ。
と、見ると。ソファーに俺の下着を着たこが座っていてリモコンを持っていてテレビを見ていた。下は俺のパンツ。キャーー!! ちなみにトランクスだぞ。
「あ、お帰りなさい」
誰だよ!!
ちょとまってくれ。何で俺の家にこんなラフすぎる格好をした女の子が二人もいるんだよ! しかも俺の奴。
何故だ! 御主人様とかお帰りとかまるで昔からいたみたいじゃないか!!
しかも美少女!! いや、願ったり叶ったりなんだがいくらなんでもこれは追いついていけない。
「だ、誰なんだよ君たちは」
「ん? 私? そうね……うーん。なんと説明すればいいかしら」
「ご、御主人様! 私たちのこと覚えてくれてないんですか!」
いや、そんなこといわれても。知らない者は知らないというか。
「んーと………そうね。見せた方が早いでしょうね」
「は?」
女の子は力を抜いたようになる。
その途端。
「な、なんじゃこりゃあぁぁぁあああ!!」
なんと頭に耳が生えたのだ。いきなり! ぴょこんと! 尻尾も生えているッぽくうにょうにょ? うねってる。そう、まるでその様は猫。
「理解できた?」
いや、理解出来ないのですが。
「はぁー。相変わらず飼い主殿は飲み込みが遅い様で。私はタマよ」
「へぇー……って納得できるか!」
「御主人様私はぽちです。覚えてくれてますよね?」
「当たり前だ。てかなんで擬人化してるんだ」
「えーとそれはですね」



~回想開始~

それは朝、和人が学校へ行くところから始った。
「それじゃいってくるわ。元気でいろよ。あんまでかい声だすなよ」
「にゃー。にゃーにゃーにゃ」
「わんわん。くぅぅん」
※以後日本語での会話に通訳します。また、台詞だけで描写はないのでご了承ください
「はー。私も御主人様と一緒にガッコウへ行ってみたいですぅ」
「別に行けばいいじゃない」
「む、無理ですよ。ガッコウはセイト以外立ち入り禁止らしいのです」
「ふーん。でも、ま。私はいけるけどね」
「ずるいです。私も猫さんに生まれたかったです!」
「こ、こら。あんまり大きな声だしちゃ駄目といわれたでしょ。ばれたら一緒にいられなくなるのよ」
「そ、それは嫌です」
「私も嫌よ。ご飯を一人で盗るなんて野蛮だものね」
「タマさんはそれしか考えてないのですか?」
「んなわけないでしょ。あーあ。退屈。早く彼の膝で眠りたい」
「うーずるいのですいつも。私も膝で眠りたいのです」
「あなたはいつも抱っこしてもらってるでしょうが」
「むー私は後ろから御主人様に抱きつきたいのですが如何せん背が足りないのです。手が届かないのです」
「貴方が二本足でたって背中に一生懸命手をぽこぽこ叩いてるのはそう言うわけだったのか」
「む。いま私を馬鹿にしませんでした?」
「してないしてない。全然これっぽちもしていない」
「嘘だっっ!!!」
「だ、だからあんまり大きな声は駄目だって。私は彼と一緒にいたいの」
「うう。私がもし人間だったらなぁ。御主人様と一緒にガッコウへ行きたいです」
「ちっちゃいね。私だったら飼い主様とあんな事やこんな事果てはそんな事までやっちゃうのになぁ」
「はわわわわわわわ!! だ、駄目です駄目です! 御主人様は私のものなのです!」
「馬鹿、だから大声出さないでよ。けどそれは聞き捨てならないわね」
「む、だから御主人様は私だけのものなのです」
「ふん。あんたみたいに子供っぽいのより私のほうが断然言良いに決まってるわ」
「あはは。お年寄りよりはいいのです」
「な、なんですって………あんまり私を怒らせない方が良いわよ」
「おお怖いのです。年増は怒らせると怖いのです」
「だ、誰が年増よ! 私は貴方と一緒の年齢よ!」
「あれぇ~? そうだったのですかぁ。あまりにも年をとっているように見えたので……ごめんなさい。謝るのですぅww」
「舐めんじゃないわよ!!」
「怒っちゃだめですぅwwただでさえ恐い顔なのに怒ったらもっと怖くなるですぅwwww」
「ぶ、ぶっ殺す!!」
「猫の癖に吼えてないでさっさと来やがれなのですぅwwwwww」
「に゛ゃ゛ーー」
「あははははは! 無駄無駄無駄無駄ぁー! なのですぅww」
「外道! 畜生!」
「年増よりは全然マシなのですぅwww」
「キッー!」
「なんだ? 隣が五月蝿いぞ?」
「やばっ」
「うっ」
「…………気のせいか」
「ふぅ。たすかったのです」
「ふっ私もあんなに取り乱して大人気なかったわ」
「おっ? 年増だと認めたのですか?」
「ちっ」
「舌打ちはいけないなぁーいけないのですぅ」
「煩いわね」
「あーあ。つまんないのです」
「全くね。人間になれればってつくづく思うわ。そうすればこんな所にいつまでもいなくてもすむもの。彼と一緒に色んなところを歩いていみたいわ」
「まったくですぅ」
「つまんないわね。あんた何か一発芸やりなさいよ」
「ええ? 私がですか?」
「そうよ」
「(><)ワカンナイデス」
「いいからやりなさい」
「わかりました。では、おほん」
「……」
「はやく人間になりたーい」
「…………………」
「…………………」
「うぅ。哀しくなってきたのです」
「つまんな過ぎね…………って、何であんた光ってんの!?」
「あわわわわもしかしたら人間になれるかもしれないです!」
「ええええ!嘘ぉぉお!」
「に、人間になれたです」
「う、嘘でしょ。あの台詞でなったとでも言うの?」
「さ、早く言うのです」
「い、嫌よあんな台詞」
「あれれぇ~? 人間になれなくていいですかぁ? まぁ私は一向に構わないですぅ」
「くッ………は、はやく人間になりた~い///」
「プッwwギャハハハ! 本気で言いやがったのですぅwwwマジ笑えるですぅwwwwww」
「あ、なれたわ」
「えっ?」
「ふっ。まぁ、私も選ばれたみたいね。さぁまずは服着ましょ。人間にはそう言う習慣ある見たいだし」
「確かに。人間は寒いです」
「ちゃちゃと着ましょ」
「私はこの御主人様が着てたパジャマを着るですぅ。匂いがして気持ちいいです」
「ちっ。まぁいいわ」
「悔しいですか? ざまぁwwwですぅww」
「いちいち貴方ほんっとにうざいわね。まぁ、私はこれでも着るかしら」
「し、下着とか! だめですぅ!」
「いいじゃない。パンツとかくらいよ」
「あわわわわわわ!」

~回想終了~




「てな訳なんです」
意外と黒いなぽちって。と、第一印象に思った。
「まぁいいか。んでどうすんの? マジで人間なの?」
「そうですね。人間と大して変わらないかと。飼い主様が見ている露出度の高い女性の本に出てくる人間の女性同じかと」
「あああー! あああー! 何でそんな事しってんの!?」
「何故と申しまれても…………調べただけで御座います」
「…………ふっ。もういいよ。で、どうするのさ。マジに」
既に俺はもう開き直っていた。いや、違うな。これは既に無我の境地。いわば悟りを開いたなどとは程遠い悟りを極め仙人として生きるにしても既にする事がなくなりまさに今御仏として衝天しようかと迷っているルイ十三世!
「わ、私は御主人様と一緒にいたいなぁです」
「無論私もですね」
「俺は別にいいんだけどさぁ。ちょとていうかかなり狭いよな」
「そうですね」
「引越しとかしないんですか?」
「金があればするんだけどなぁ」
そう。確かに金はあれど一軒家を買うほどの金など無いに等しい。というか無い。
しかしながらここは三人で住むにはあまりにも狭すぎる。
「まぁ、捜すだけ捜してみるか」
と、言う事で。さっそく捜してみよう!


三日後俺は4LDKで駅まで徒歩で約五分のマンションを一つ借りる事ができた。
何故か。理由は一つ。
要するにいわくつきという奴である。
こういっていたと思う。
「お客さん。これはやめたほうが良い。これを借りたひとは皆……ねぇ」
とか言っていた。が、実際別にどうでも良かったりする。
今まで幽霊なんぞ信じていなかったがぽちやタマの事もあっているかもしれないという気持ちはある。が、来るならこいやァァ! 
「こんな惜しいのをやすやすと手放してたまるかいなァァ!」
と、返したと思う。
かくして俺たちはここに住む事になったのだった。


「いやぁ、よかったなぁ。はっはっはっ」
「ど、どうしたんですか? 御主人様」
「?」
二人は俺を不思議そうに見ている。
ここに住み着いて早くも一週間。二人との生活にもなれたものだ。
しかし何が良かったか。彼女たちの服が一段落ついたからだ。
女性の服など分かるはず無い。しかし。服がない。ならば買うしかない。誰が? 俺だ。
下着を買うときなどどんな目で見られていたのだろうか。いや、本当は分かっているのだ。ただ思い出したくは無い。しかしよくやったなぁおれ。よくやったよ。
「御主人様ぁ遊びましょうよー」
「無理。俺疲れてるから」
「飼い主様私本が欲しい」
「無理。俺金ないから」
さっきからこんなやり取りばっかりだ。いいかげん疲れてきた。
なぁ本当に。眠いんだ。少しくらい寝させてくれ。
「俺はマジバイトで疲れたから眠い。遊ばないし外に出るなんて言語道断」
「「えー」」
「んじゃあ。俺は寝る」
そう言ってソファーに寝転ぶ。
ピンポーン。
「御主人様ー誰書かきましたよー」
「煩い。俺は寝る」
「飼い主様それは客人失礼じゃないですか」
「煩い。居留守は正義だ」
ピンポーンピンポーンピンポーン。
うるせぇ。何故だ。俺には睡眠という選択肢は無いのか。
「ああ、もう。うるさいなぁ。はいはい今でますよーっと」
ドアを開けるとそこには……………………。
「よっ。元気かい? 私は元気だったよ」
「………………」
俺は黙ってドアを閉めて鍵をかけた。ちなみにチェーンもだ。
「ちょ! ないでしょ!」
俺はそれを無視してソファーへ向う。
ガチャガチャ音がするという奴は前に出て来い。俺がみっちり幻聴という事を気のせいという事を教えてやる。
カチッ。
ん? 今変な音が。
「はっはっはー! 私は合鍵を持っているのだよ」
マジか。でもまぁ意味ないけど。見物にでも行くか。
案の定鍵は開けたはいいがチェーンのせいで中に入れないようだった。
「ちょ、ないでしょこれは」
「ははは! 凛ざまぁ!」
こいつの名前は天野凛。俺の幼馴染だが。妙にテンションが高い奴だ。あと頭のおかしい奴だ。以上。
眠いし寝るかな。
「ちょまって! いれて!」
「嫌だよ寝るから又今度な」
「ちょとまって!」
「うるせぇ。寝るんだよ俺は」
全くなんでこんな奴に会わなきゃいけないんだ。こういうときは無視しよう。
「………………」
「無視ですか」
「………………」
「すきなの? 豚骨生姜味」
は? いきなりなんだこいつ。ついに頭がおかしくなったのか? いや、元々駄目だとは思っていたがついに終りが近いようだ。
「ねぇ、開けてよ和人君開けてよ」
ガチャガチャ。
う、UZEEEEEE!
「開けてよ。ねぇ開けて」
ガチャガチャ。
おいおいおいおいおいおい。何? やって欲しいの? いいの? やっちゃうよ俺? んじゃ行きますカー。
「帰れ………帰れよォォ!!」
勢いよくドアを閉める。
「ぎゃっ!!」
「帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ!!」
「痛いって! 洒落にならないって!!」
「あらそう」
んじゃやめるか。
かわいそうなのでチェーンを外してやろう。
「いたたたたた。と見せかけてGO!」
し、しまった!!
よく見ると奴の指には鉄板が!! ってどんだけだよ。
「あっはっはっは! おっじゃましまーす!」
「あ、こんにちはですぅ」
「あら? お客さん?」
ぴたりと凛は止まって動かなくなった。
二人を見た途端全く動かない。ギギギギギギという音がしてこちらを振り向いた。う、嘘じゃないぞ! 本当にそう言う音がしたんだ。
「ねぇ? この人たちは誰」
「うーん。なんと言うかな話せば長いようで長くないような。よし簡潔にしよう」
ずいっと俺に顔を近づけて問いただす。顔が近いって。
まぁいい。ペットが人間になったからはじめよう。
「和人さんとはあんな事やこんな事そんな事に果てはどんな事までやっちゃった仲よ」
「おい!!! 何言ってんだよ!」
「なっ御主人様……!!」
「ちょ! もう何も言うな! 御主人様とか全部誤解だ!」
「ふ、ふぅーん。へー。そう…………なんだぁ……」
「ちょと待て! 誤解だ! というか誤報だ!」
はわわわわわわわわわ!! 大変な事になってしもうた。というか全然信じてないだろこいつ! 幼馴染なんだから信じなさい! 味方がいない状況ってこんな感じなのか……孤立無援か。補給経路も全て断たれ通信も全て電波妨害を受けている。くっ!
「い、いいか? よく聞け?」
「わかってるよ。大丈夫。信じてるよ」
し、信じてねぇ。その目は全然信じてねぇ。
「なぁ、待ってくれ。本当に良く聞け。COOLになれ」
「なに言っているの? 私はこんなにKOOLだよ」
や、やべぇ。キレてる。間違いない。こいつがキレるときはマジでヤバイ。
くそぅ……………………………無念ここまでか。
俺の人生短かったなぁ。
「ねぇ? 私の気持ち気づいてないわけじゃないよね?」
「うっ……」
「ねぇ?」
こいつは俺の事が好きだ。いや、別にいいんだ。ただこいつはあの頃の女の子たちのような目にはなって欲しくなくて避けつづけた時期があった。
するとこいつは………………俗に言うヤンデレに……なんてこったい!!
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
「ねぇ和人。和人」
「ちょと落ち着け! なっ落ち着け!」
ちょと待て! 何でポケットに折畳式のナイフ入ってんだよ! 出すな! 危ないだろ! 日本の治安はどうなってるんだ!? 警察は無能だ! というか誰か助けてくださぁぁい!!
ここは逃げるしかないだろ。常孝。
という事で俺は玄関に向って走る。
「待ってよ和人、和人ぉぉお!!」
「うわぁぁぁあ! マジかよ」
玄関まで後少し頑張れ俺。
「あっ―――――――」
派手にこけた。ダイビング。尻餅ついてあとずさる。
「あははははは! 大丈夫だよぉ! 私も直に逝くから!!」
い、逝きたくないぃぃぃ!!
ど、どうする。方法は一つしかない。多分。成功する……………はずだ。
「うおぉぉおおおおおおぉ!!!!」
「なっ」
がしっ。
抱きつく。抱擁しました。多分これで。大丈夫なはずだ。
生きるか死ぬかなので周りには構っていられない。いくらかCOOLになったはずだ。後はもう詰みだぜ。
「かずっ――――」
何か言う前に接吻。接吻しましたよ。キスです。いや軽い口付けです。あわせるだけの。しかしこれで多分もう平気だ。
背に腹は代えられない。偉人は素晴らしい言葉を残しました。
「えへへへ」
危なかった。非情に危なかった。既に凛は上機嫌で頬を赤く染めている。かわいいのになぁ。なんでこんな娘に………………………。
「んじゃお前はもう帰れ。なっ? なっ!?」
「んーまぁ和人がいうならいいかな。また来るねー!」
そういって帰る。玄関を締め切ったところで俺は安堵した。
た、たすかたったぁぁぁ。
突如ドアが開き顔だけを覗かせて凛が言った。
「明日学校休んじゃ嫌だよ?」
バタン。
………………………………あの様子なら平気だろ。(多分)
さて今日は酷い目に会った。こういう日はさっさと寝るに限る。
「ご、御主人様はさっきの女性と付き合っているのですか!?」
「……………………」
「き、キスとかするのは恋人同士なのですよね?」
「……………………」
「ご、ご主人様?」
「……………………」
「ご主人様ぁ! ねぇご主人様ってば」
やべえ寝れねぇ。今何時だよ。あああ! 明日バイト間に合うかな………。
「ねぇねぇねぇねぇねぇ!」
「た、頼むからねさせてくれ」
「無理です!」
元気よくぽちは返事した。ううなんでこんな目に………。

結局眠る事が出来たのはバイト中だけだった。

       

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Neetsha