Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

引越し先は二階建ての大きい一軒家。
そういえば幽霊とか全然でなかったな。まぁ出ないに越した事はないんだけどね。なんというかつまらない。別にいいんだけどね。
しかしいったい何故どうやってあの短時間でこんな家を見つけたのか。
待て! 金は?
「お金ならご心配なく。全てお父様が払ってくださるそうです」
「…………そう」
家は金持ちだ。何でか知らんが妙に金持ちだ。だからこんな家一軒買うのなんてちょと高い出費程度だろう。
「さあ兄さん準備は出来てますよ。まぁ私好みに置かせてもらいましたけど」
うん。もういろいろありすぎて疲れたからいいや。
さっさとべットにいこう。深い事は考えるな。
「えっいきなりベットだなんて今日は積極的だね和人」
UZEEEEEE! こいつまだいたのか!
「ええいそんなのではないわ! 離せたわけが!」
「和人ぉ好きだよ和人」
ううう。やはり俺には寝るという選択肢はないのか。
「ご主人様あそびましょうです!」
「本読んでるわね飼い主様」
二人はご満悦の様子だ。よかったよ。俺は全然良くないけど。
「兄さん気に入りませんか? なら直に違うところに変えますが」
「いやいやいや。そういうことではない。凛が邪魔という事だ」
ていうかそんなブルジョワなやり方されたら俺の感覚がおかしくなる。
「凛また今度な。今は寝かせてくれ。頼むから」
「やだよー。何かしてくれるのならいいよ」
畜生等価交換とはまた。どうするか。
「キース! キース! キース! キース!」
「はいはい一人で盛り上がってるな」
全くどうしたらこんなにテンションが高くなるんだ。誰か教えてくれ。今なら百円上げるぞ。
しかしキスで解放されるなら安いかも知れん。
という事でおでこにキス。
「はうう」
「お休み凛。俺は寝る」
はぁなんだか痛い視線を背中に感じるが気のせいだろう。というか絶対に気のせいだ。雲間違いない。気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい…………。
「あああ。疲れた!」
自分の部屋に入るとどっと疲れが押し寄せてきた。何故か知らんがかなり疲れたようだ。多分大半は凛。
「さてと寝るか」
電気を消してベットにもぐる。
「おやすみなさーい」
誰にとも言わずつぶやく。すると応えが返ってきた。
「おやすみなさい」
あれ? DAREMOINAIHAZUDAYONA?
「クス」
「うわぁあああ!」
目の前にいきなり人間が現れて笑った。なんかふよふよ浮いてるし! なにこれ? なんなのこれ!?
女性だと思うけど。怖くてというかびっくりして正常な判断が下せない!
「クスクスクスクスクスクス」
「ひぇぇええええ! 何これ!?」
「私? 私は簡単に言えば幽霊」
「ゆ、ゆ、幽霊!!」
まさか本当にいたとは……ってなんでマンションに出ないでここにでるんだよ! 運悪すぎだろ!
「違う違う。私は貴方に憑いてきたの。だから元々はあのマンションにいたんだよ」
う、嘘だろ。まさか妙に疲れていたのは幽霊のせい!?
「ねぇねぇ寝ないの?」
「寝れるか!」
いきなり謎な事を言い出すなこいつは!
「ふーん。私は簡単に言えば幽霊だけどね。本当は夢魔なんだよ」
「へーって何ぃ!」
そ、それはもしかして!
ていうかこのまま取り付かれつづけていたら死ぬんじゃないのか!? 嫌だ死にたくない!
「うんうん。想像してるとおりだと思うよ。別にしにはしないけど」
「そうかそれはよかった。しかし生憎夢魔なんていりません。帰ってください」
「嫌だね。今までの奴らは全員気に入らなかったから殺しちゃったけど貴方は中々好みだものね」
間に合ってます! いいです。どうせなら大樹に憑いてやれよ。
「いいからいいから。YOU寝ちゃいなYO」
UZEEEEEEE!
こんなうざい奴久しぶりだよ。
ていうかこんなのが夢魔なのか。こんなのでいいのか?
「あれっ? なんだか妙に眠くなってきた」
「ふふ。きいてきたみたいだね」
畜生……あれは魔法だったのか……うかつだった………!
こうして俺は深い眠りに落ちていった………。
「はっ!!」
な、なーんだ。夢落ちか。びっくりだ。まったく。あんな夢見るなんて俺おかしいのか? いやいや多分健全なはずだ。
さっさと起きよう。どうやら引越しまでは現実っぽい。
欠伸をかみ締めながら着替える。
「よく眠れた? クスクスクスクスクス」
夢じゃなかった……orz

       

表紙
Tweet

Neetsha