Neetel Inside 文芸新都
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 陽の光が燦々と降り注ぐ砂場へ出る。

 気持ち悪いほどの人の群れが向こうから円になり、ぐるりと両側を伝ってきている。

 これを見ているのはユウトをこんな場所へ放り込んだあのメイジ達であり、
 彼らは自分たちを見せ物にしていることもユウトは知っていた。

 のっそりと対極側から現れた緑色の体躯。

 オーガメイジ。それが、今回の相手だった。


 もはや、『死の使い魔』の二つ名を持つユウトであるが、
 使い魔の中でも上位ランクのユウトがこういったモンスターを相手に魅せ試合をすることは珍しくはない。



 ――そしてメイジの相手もこれが初めてではない。


 実際、過去に罪人の上級メイジとやり合ったことがあったユウトだ。

 厄介なメイジは強大な回復力を持ったメイジと、
 一撃必殺のスリースペル以上の強力魔法をノンキャステング(無詠唱)で放つメイジだ。
 
 後者にはまだ会ったことがないユウトだが、果たしてこのオークメイジはどうだろうか?


 どう考えてもそんな強敵のそれなどではないだろう。



 しかし、油断はいつでも命取りになることをユウトは体で覚えている。


 ――開始の合図(ゴング)が鳴る。

       

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