Neetel Inside 文芸新都
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 一瞬、スバルの目が鋭くなったとユウトは思った。
「皆、自己紹介をしておきなさい」
 フラムに促され、一行は軽く自己紹介をした後、合同クエストへと向かった。

 ユウトだけはどこか不安めいたものを感じながらスバルの後へ続く。


「ふむ、どうやら最初は高得点なクエストでサービスみたいだね」
 教室へ戻ってきたアリス達は黒板に魔法文字で書かれたクエストの内容を見て言った。
 全てポイント250と書かれたそのクエストの列は大得点と言わんばかりのボーナスだった。

「二学年に必要なポイントの半分じゃない!」
 アリスは目を丸くした。

「まあ、これが学園側の作戦さ」
 スバルの意外な一言にカインは聞いた。
「どういうことですか?」
「いいかい?
 逆を言うとこのクエストの後は少ない得点のクエストしか出ないということさ。
 つまりそれは、今回のこの合同授業と銘打った共同クエストの
 重要性を言っていることにもなるんだ」

「もう少し簡単に言えないのかしら」
 スーシィが先輩に向かってぼやいた。

「故にこのクエストを失敗してしまうと、
 かなり進級が厳しくなってしまう。
 学園側はそういった生徒の協調性こそを評価したいんじゃないかな」

 協調性……アリスにはきつい言葉だ。スーシィは首を傾げていた。

「ハーピーの羽を手に入れるってありますね」
 シーナが一番簡単そうなのを見つけた。
 ハーピーは数こそ少ないが、強くはない。もちろん、ユウトにとっての話しだ。

「それをやるならこちらの魔象爪(ましょうそう)を手に入れる方が簡単だと思う」
 カインがそう言うのにアリスとスバルが賛成した為、それを選ぶことに決めた一行。

 教室の中央には魔法陣が光っている。
「まだそこへ乗るなよ。
 さっきも言ったがこのクエストは少し時間がかかるから
 そこの携帯食を一応持って行くんだ」

 教室の端に山積みとなった小箱は何かと思っていたが、どうやら携帯食らしかった。
「携帯食……?」
 アリスは独り言のようにぼやきながらも箱を手に取る。

 今までは実践らしい実践などほとんど授業になかった
 のだからアリスの言い分はもっともだった。

「クエスト自体は簡単だよ。ただ、時間がかかるからね」
 そう言ってスバルは魔法陣を踏んだ。

「さあ、みんないくよ」
 続いてアリス達も加わる。

「え、何コレ。ちょっと、きついわ」
「わ、私はこれで精一杯です」
「離れなさい」「……」

 アリスとシーナはもみくちゃで、スーシィにリースがしがみつく。
 カインはスバルとユウトの間で諸手を挙げて挟まれていた。

「き、きついなっ――rani pg Kelros」
 ぱあっと足下が光り、視界が埋め尽くされていく。
 ユウトが最後に見たのはそんな四人のひしめく顔ぶれだった。

       

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