Neetel Inside 文芸新都
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「ランス。あんたの使い魔はどこよ」
「ん? 僕の使い魔はこれだ」

 そう言ってランスが横へずれると、何やら半透明の球体が垣間見える。
 とても生き物とは思えない。ぐにぐにとしたゴムボールのようだ。

「何よ、ちゃんといるんじゃない。じゃあ何よ、この使い魔は」
 アリスはオコジョをずびしと前へ突き出す。
「おいおい、気の弱い使い魔なんだ、大事に扱ってくれ。そいつはユレン、僕の友達の使い魔さ」
「はぁ? 何で友達の使い魔をあんたが連れて歩いてるのよ」
「彼は今、風邪をひいていてね。
 使い魔だけでも一緒にクエストを行えば、ポイントが加算されるかと思ったのさ」

 アリスはオコジョを見つめる。きゅうっと鳴いてお辞儀をした。
「持ち方がおかしいんじゃないか、首絞まっちゃってるぞ」
 そのままそっと下へ降ろすと、オコジョはアリスの肩へと登って留まった。

「…………頭が痛いわ」
 こんな小動物に使い道があるとは思えない。
 アリスはげんなりとした気持ちで項垂れた。
「はは、まあ仲良くしてやってくれよ。
 気は弱いが、人懐こくて可愛いヤツなんだ」

 しかし、どうにもランスの態度は軽すぎるとユウトは思う。
 まるで、ハルバト退治なんかどうでも良いようだ。
 ユウトはそんな懐疑的な心を諌める。

 ほどよくマイナス点になったことで、先を急ぐことにした。
 話し合いで、ユウト、ランス、シーナ、アリスの順に並び進む。
 シーナはユウトのサポートをすると言って聞かなかったが、

 前衛は男の方が何かとユウトも気が楽だと二番手はランスに任せた。
「ユウト、だったね」
 アリスの同期なら年下だろうか、二枚目の少年に呼び捨てにされる心境は良くなかった。

「そうだけど」
 道らしい道を進んでいるだけで、今のところ危険はない。
 ユウトはそう判断して、ランスにこたえる。

「君はアリスのことをどう思ってる」
 突然そんなことを聞かれ、胃が絞まる思いだった。
「どうって……」
「いや、ならいいんだ。
 まさか、使い魔がメイジを『主』以外の目で見るなんてことはないだろうと確認したかっただけさ」

       

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