Neetel Inside 文芸新都
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「フライの魔法で常に風を遮ってるんだ」
「なるほど、そんな方法が」

 ユウトは敵と遭遇した時の危険度や、落下した際の対応などを詳しく説明した。
 また、山で起こる突風や濃霧、雨などのほとんどは魔法で対応していくことも話す。

「行く前にさっさと教えなさいよ、バカ! そもそも何で後ろについていないわけ?」
「君はいつもこんな扱いを受けているのかい?」
 ランスは笑いながらユウトに言った。

「もう慣れたよ」
 ユウトも笑って答える。


 休憩も兼ねて一旦、各々で休んでいると突然アリスのポイントカードが高い音を立てて鳴り響いた。

『ピピピピ――』
「? 何よこれ、壊れたの?」
 見ると、アリスのポイントカードが凄い勢いでマイナス得点を刻みだしていた。

 同時にシーナのポイントカードも鳴り始める。
「……私もですか?」
 ランスは不思議に思う三人を置いて、一人合点がいったような表情を浮かべる。

「使い魔のルールだ」
 掲示板に新しく追加されたルール。
 使い魔の同伴をルールに追加されていたことを思い出す。

「でも、私の使い魔はここにいるわよ?」
 アリスがそう言ってユウトに近づくが、ポイントカードは鳴り止まない。
「違う、アリスの使い魔はこっちだ」
 ランスはオコジョのような白い毛並みの小動物をアリスに差し出した。
 それを受け取ったその瞬間、ぴたりとポイントカードの音が止まる。

「なによ、どういうことよこれ」
 今度はユウトがシーナの方へ行くと、シーナのカードは鳴り止む。
「そういうことだな」
 ランスは魔法陣へ乗った時のことを思い出せと言った。

「まさか、魔法陣に乗って飛ぶにはメイジと使い魔がセットなのか?」
「そうなんだろう、使い魔を貸すのも良いとは書いてあったが、まさかこんなことになるなんてな」
 ランスは肩を竦めて見せるが、アリスの不満はもちろん収まらない。

       

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