Neetel Inside 文芸新都
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「ユウトの攻撃ですね」
 シーナは惜しみ気もなく言った。

「そうね、そのハルバトの傷は剣でのものだったし、間違いなくユウトのだわ」
「じゃあ、直前で取り込んだマナっていうのは?」

 当然そうなる。アリスは反省文に視線を戻した。黙る。

「多分アリスさんです、魔法を使ってからいきなり力が抜けたように座り込んでしまって……」
「違うわよ」
 白々しくアリスが抗議する。

「違わないわね、エレメンタルを介して攻撃したことで相手にマナの性質を読み取られた。
 ドレインを使えるモンスターなら、マナは抜かれて当然ね。
 さっき自分でも言っていたじゃない、この杖のせいでって」

「…………」
 ごめんなさいが出てこないアリス。
 顔を真っ赤にして、親の仇を取らんばかりの顔で反省文を睨んでいる。
 ユウトはすかさず立ち上がっていた。

「ま、まあ別にみんな責めているわけじゃないだろ?
 そうだ、スーシィ。実はあの貰った剣どっかに落としたみたいでさ、高かったのにごめん、な……」

 みんなは黙っている。
 重たい沈黙がユウトの言葉を押しつぶした。

 そういえば、シーナは最初にハルバトのクエストを反対した。
 スーシィは何度もアリスにエレメンタルの杖を使うなと言っていた。
 ランスだって最初はハルバトを倒せるつもりなのかと聞いていたじゃないか。

「みんな、全部アリスのせいだと思ってるのか……」

 ユウトはシーナに助けを求めるように視線を送った。

「全部とは言いません。ですけど、みんな死にかけました。ユウトが一番危なかったでしょう?」
「あ、あれは俺の力不足で……」

「誰かを守ることに力不足なんてものはないわ。
 だからこそ、まずは自分の身を守らなきゃならない。
 なのにアリスは自分どころか忠告を無視してみんなを危険な目に遭わせたん――」

 だっと駆けるアリス。ふわりとクリーム色の髪が翻った。
 ばたんと教室の扉が鳴る。通行していた生徒が驚きの声を上げていた。

「少し言い過ぎじゃないか? アリスは素直に謝れない奴だし……」
「そんなことは解ってる。だからといって死と等価になんてならないでしょう」

 スーシィは早く追ってやれとユウトに目配せする。ユウトは頷き返して走った。
「ユウト?」
 シーナはユウトを訝しげに見送った。

「(やっぱり、アリスさんにユウトは相応しくありません)」
 思いを新たにし、シーナはペンダントを握りしめた。

       

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