大三和は、病室の前にあるイスに腰をかけると、まるで試合前のボクサーのごとく、腕を膝の上にのせ、うなだれていた。
 どれほどの時間が経ったのだろうか。
ただ、そう、ただ茫然と時間を浪費し、意識を、ほとんど喪失と言っていいだろう、そうした状況を過ごしていると、不意に足音が、大三和の耳をつき、意識をこの現世へと引き戻した。
そしてその足音は複数で、かなり焦りがあるということだけは判った。
不意に目の前のドアが開く。
出てきたのは、少年ではなかった。
大三和は、視線だけをそちらに向けたため、上目づかいをするような形となる。
「二人とも成仏したわ」
御一条だった。彼女は、言いつつ、大三和の前に立ちはだかった。
言い終えるとほぼ時を同じくして、大名行列を思わせる、看護師と医師の隊列が病室になだれ込んでいった。
大三和と御一条は、それらを横眼に、病院を跡にした。