自説自論
AVの経済構造
『公衆の健全な性秩序というものはむしろそれを隠すことによって混乱つまりカオスを引き起こすとも考えられないだろうか。』
(本書『AVにおけるモザイクまたはぼかしについての考察』より引用)
この聡明な仮説に基づいてAVの経済構造を解明しよう。そもそも性の禁止というものは女性(あるいは男性)の公平な分配のために近親相姦から始まったものだとバタイユは述べる。また、彼は『エロティシズム』内で同様にエロティシズムの象徴としての男性器の彫刻が太古の時代から存在したことを述べている。
資本主義においてこれらの禁止と象徴はその経済のグローバル化とともに拡大されることになる。その禁止はモザイクとして表れ、コンドームや風俗店、裏ビデオ、洋物ビデオなどに富の分配を保障するものとなった。特に日本の場合風俗店、裏ビデオはヤクザの資金元であるのでこれらの解禁が拒まれるのであろう。
象徴性器を巧みに経済へ利用したのはコカコーラの瓶などの商業デザインである。人々は経済構造が行う巧みなすり替えによって、性器を求める欲動を決して満たすことの無いままそれらの商品を購入するのである。これをカオスと言わずして何と言うべきだろう。
我々の欲動をそのまま我々に還元するためにも、性器の彫像やAVなどの諸芸術は決してこれらの安易な暗幕に包まれることがあってはならないのである。