Neetel Inside ニートノベル
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「ならば」
 仮面ライダー参号がベルトに手を掛けた。
風車の回転速度が次第に増してゆく。
 風切り音が人間蝙蝠の耳にも届いた。
「何を目論もうとて 無駄」

 台詞を吐き捨てて、疾走する。
再び背後を取る―…と推測して咄嗟に後ろを向いた
仮面ライダー参号の裏を掻きいた。
 一度死角に移動した瞬間。
外套でひた隠していた黒翼を羽ばたき、上空へ移動する。
そして抜刀。
振り下ろすように頭を叩き割る刃筋を描いた。

「仕留めたり」
 今度こそ感じた手応えに、
人間蝙蝠がにやりと笑う。
 
 けれどその感触は―…
天涯蝙蝠の折れた感触であった。
"折れず曲がらず"と云う日本刀の精神を
体現した銘刀が、ぱきりと折れた。

「クロス ハンド!」
 仮面ライダー参号は両手を交差に組んでいた。

――仮面ライダー参号に内蔵される"二十六の装置"の一つ、
全身の細胞を超活性化させる"クロスハンド"が起動する。
 クロスハンドは腹胸部の斬撃痕を瞬く間に癒してゆき、
全身骨格を別人と見紛うほどにパンプ・アップさせる。
 筋骨を二周りも肥大化した仮面ライダー参号は
頭部に受けた斬撃をものともせず、叩いた刀を折った。
 攻撃性の超音波も"クロスハンド"の咆哮で掻き消し、
二重閃波を完全に防ぎきった。

 人間蝙蝠は折れた天涯蝙蝠の切先へ視線を遣った瞬間、
更に空高く飛翔した。
距離を取り、事態を把握しなければならない。
歴戦の戦士の直感が行動に隙を与えなかった。

 それでも、遅かった。
 駆けるように跳躍した仮面ライダー参号が、
飛翔する人間蝙蝠に一瞬にして追いついた。

「ライダー キック!」
 全身全霊の力を込めた一蹴り。
人間蝙蝠が、爆して散じた。

[対人間蝙蝠編 了]

       

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