Neetel Inside ニートノベル
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 最近になって、尻尾を鈍くちぎられた猫をたびたび見かけるようになった。
世界の猫に対して、猫の尻尾が不足しているようだ。
尻尾のちぎれた猫を見るたび、私は新しい尻尾を買って与えたくなる。
あるいは猫がそれを望んでいなくても、いま流行の、いらない機能がごちゃごちゃついた新しい尻尾をつけてあげたくなる。
自転車のタイヤが小石を踏んで、「ぶぎゅるんっ」と音を立てた。


 私は銀色の自転車に乗って、紺色の制服を着て、冷たいコンクリートの上を走っている。
目的は何かと言うと、地元の、あまり偏差値の高くない高校にたどり着くためだ。
来年からは、地元のあまり偏差値の高くない私立大学に通うことになっている。
とりあえず今のところは、そう決まっている。
目的は何だ?
段差を越える度に、自転車のハンドルについたベルが「りん」と音を立てた。

 りん。

       

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Neetsha