Neetel Inside 文芸新都
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あきらめろ
新・ニコチン中毒

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「タバコをやめたら、考えてもいいですよ」

意中のあの子にそんな事を言われたものだから、僕はさっそく長年吸い続けてきたタバコを
やめることにした。



手持ちのタバコの箱にはあと2本だけタバコが残っていたので、
これで最後だと腹をくくり、その2本のタバコを2つとも手に取り、一気に2本同時に吸った。


体中を一気にニコチンが駆け巡ったからかどうかはわからないが、
その神経毒は僕の指先をプルプルと痙攣させた。


2本のタバコを灰皿の上で押し消した。
いつもなら、あとわずかしか吸う余地がない短いタバコをみる度に、
もったいないという気持ちが心を支配していた。
そして、煙をあげる、その先端がフィルターに近づく瞬間がたまらなく切なく思えていた。


2本のタバコを吸い終えて、真っ先にあの子にたった今タバコをやめたことを教えた。
わざわざ、ファミレスにあの子を呼び出して。


「別に、タバコを吸おうが吸うまいが、そんなの関係ないんですけどね……ごめんなさい」
あの子は注文したチョコパフェを食べながら、陽気にそう答えた。


あの子が言っている事はなんとなく意味がわからなかった。
だが、今、その言葉によって自分が立たされた状況は理解できた。
つまり、僕はふられたということだ。

あの子は、パフェを食べ終え、皿に付着したバニラアイスやチョコレートソースを
器用にスプーンで掻き集め、じっくりとそれを最後まで堪能していた。



あの子とバイバイと別れを告げたあと、僕はなんのためらいもなく、コンビニに行き、
いつものタバコを買った。



そして、タバコに火を着けた後、じっくり、じっくり、僕はそのタバコを味わった。
たった今、あの子が最後の最後までパフェを堪能していたように。



もちろんフィルターに近づくタバコの灰に僕は哀愁を感じる事はなかった。

だがしかし、タバコを持つ僕の指はプルプルと震えていた。

きっと、また、ニコチンという神経毒が体中を駆け巡っているのだ。

       

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