Neetel Inside 文芸新都
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 ナミは動けなくなった結衣の前に立ち、薬瓶を取り出した。
 白い布にその内容物を垂らし込み、結衣の口を二の字に割るように縛る。
「はひお……」
 口から首回りにかけて、固く結ばれた布からは甘く痺れるような感覚が押し寄せる。
「ん、はぁ――」
「媚薬――だが、ただの媚薬なんかじゃない。そいつは遺伝子レベルでお前に催淫効果のある媚薬だ」
「はっ――、はっ――」
 浅く速くなっていく呼吸で必死に四つん這いに逃げて、抵抗しようとする結衣。
 だが、媚薬と生理痛のコンボはただただひたすらに彼女の本能を煽り、唆す。
 劣情を催したことのない結衣にっとてはいきなりの快楽にただひたすら戸惑い、涙していた。

「ひっ――」
 後ろからタクヤに抱きつかれた結衣は軽く昇天した。
 今や生理痛も快楽の一部でしかない結衣が、男の体に触れられた。
 その時、彼女の全身にはほしかったおもちゃを貰った子供のとき以上に歓喜と恍惚が駆け巡ったのだ。
「あ――、あ――」
「お前は俺に負けたんだ。大人しく俺のものになれ」
 結衣は劣情と肉欲の狭間でその言葉がどれほどの正当性を持つかはどうでもよくなっていた。
 ただ、目の前にいる男と一つになるだろうという喜びと、負けたということで手に入れた快楽とが、
 どんなものよりも嬉しいものだと思ってしまった。
「――はひ」

 媚薬を口に咥えさせられたまま、体を貪られる仲間を目の当たりにして、瑞華はゆっくりと立ち上がる。
「動けるのですか」
 ナミが眼前に立ちはだかり、瑞華の行く手を阻止する。
「あなた、そこをどけなさいよ……結衣が……」
「あの方は敗北しました。敗者は勝者の餌食となる。この世界では当たり前のことだと思いますが」
「どういうわけか知らないけど、あの人は全てのものに自在に干渉できる。
 確かに攻略不可能……でもどうしてあなたには生理痛が起こらないの……そう、あなたはあの人に――」
 突然瑞華は浮き足になった。ナミが瑞華の首を掴み、持ち上げたのだ。
「私はタクヤの為に存在する。お前たち苗床とは違う」
「ぅぐ、ふ、なんで怒るの、かしら? ふふ、そう、あなたは私たちとは根本的に違う。
 生理もこない、ただの、まがいものなのかしら」
 ぎりりと音がするほど瑞華の首を締め上げるナミ。

       

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