Neetel Inside 文芸新都
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 綺麗な琥珀色をした眼(それ)がタクヤ達に向けられる。
「綺麗な目……」
 結衣が感嘆の声を上げたと同時に、タクヤ達は打ち震えるような恐怖を感じた。
『虚無審判(ノージャッジ)』
 一瞬――。まさにその瞬きの間に、輝きにも似た何かが舞い散り、タクヤ達の周り全てを呑み込んだ。
 跡形もなく、慈悲もなく、音もない。

 ただ、破滅した空間に夕の光が差し込む。
 再び少女に目隠しを施すと、女は目の前に映った光景に息を呑む。
 残ったのは抉られた地面と倒壊した建物の残滓だけだったからだ。
 虚無審判――。目に映るモノ全ての存在を否定する魔眼。それはあまりに無慈悲な絶対無二の力。
 タクヤに敗れた少女達の姿も消え失せ、二人はその場を後にする。

「――これで、良かったの?」
「……」
 車いすの少女は何も答えなかった。
 一人分の足音と車輪が轢く砂の音とが二人の耳にいつまでも残り続けた。

       

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