Neetel Inside 文芸新都
表紙

電波な彼女とヤンデレラ
電波が現れた逃げるを選んだ回り込まれた逃げられない

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1:以下、生徒に代わりまして電波がお送りします
ID:adjtwmjO 12:12:35

ちょっと、身の回りでありえねぇことが起きた。
ちょっと聞いてほしい。

電波野郎……いや電波女が俺の前に現れやがった……。











事件というか、電波女が俺の目の前に現れたのは、この光坂高校を入学してから二年と三ヶ月経った、夏休み間近で気持ちが浮き足立っているときだった。
放課後になると、俺は、友達である田中美樹と夏休みの遊ぶ計画を立てていた。
ちなみに、美樹は「よしき」と呼ぶのであって、「みき」ではない。

つまり、女ではなくて男だということだ。
予備知識ではあるが、美樹は、一年のころに「ダンシングベイビー」と呼ばれていた。
何故かというと、美樹は、高校最初の自己紹介の時に、何をとちくるったのか、パンツ一丁で「ダンシーングヴェイブィー」と叫びながら、腰を一心に振り始めたのだ。

あの時のクラスの混沌さはとても言葉ではあらわせないほどだった。

美樹は、高校デビューからだだずべりだったが、もともと顔がイケメンの部類に入っていたせいか、今では、人気者の一人になった。
これだからイケメンは……。

ちなみに俺は、無難に自己紹介をし、無難な毎日を送っている。


「おい、和哉、何ぼーっとしてんだよ」
美樹は、ため息をついた。
しかし、ため息一つまでもイケメンがやると格好いいんだな……。逆にブサメンがやると、とんでもないことになる、不思議。
「ごめんごめんごめりんこ」
俺は、相手を最上級に苛つかせる謝り方をした。
案の定、美樹はこめかみをビキビキとさせて殴りかかってきた。
だが、ただで殴られる程、俺も弱くはない。
俺は、拳を受け止めようとして……。


失敗して、鼻から大量の赤ペンキをぶちまけた。


「よし、ゲームをやろう」
美樹はなんの脈略もなくそう言った。
俺は、鼻に詰めたティッシュを赤く染め上げらせながら異議を唱えた。
「まて、とりあえずお前は謝るべきだろ」
しかし、美樹はそんな俺の意見を無視して話を進めていく。
「とりあえず、お前童貞だったよな?」
なんてことを聞いてきやがるのだろう。
無論、童貞であることは確かであるが、それとゲームに何の関係があるのだろう。
お尻の処女を開通してくれなんて言われたら鼻っ柱を折ってやる。
もちろん物理的な意味で。
「まぁまぁ、そんな怖い顔するなって……、和哉、お前こんな言葉知ってるか?『告白したことのない童貞は甘え』」

聞いたことがない言葉だった。
誰かの名言だろうか?
「知らないな」
俺は正直に答える。
美樹は、露骨に首をすくめた。
「これだから童貞は……。しかたない、このままでは魔法使いになるまで童貞を貫き通しそうなお前のために俺が一肌ぬいでやるよ」
つまり、俺に誰か女を紹介してくれるということだろうか?
しかし、それは大きなお世話だ。
「まて、女の紹介ならいらんぞ?俺はだな、劇的な出会い……そう、色々な出来事や事件を経て、恋心を稔らせていく……そんなピュアなラブストーリーしか受け付けないんだよ。だから紹介なんて創作地味たものは嫌だね」

「きしょ……」
美樹は、汚いものを見るような蔑みの目で俺を見て、吐き捨てるように言った。
きしょ……とかやめろよ……。
馬鹿とかアホとかならまだ笑えるけど、きしょ……は、ダメだろ。
笑えねぇよ、自虐的にも笑えねぇよ……。
むしろ泣きそうだ。

俺は、目尻いっぱいに塩水を溜めて、こぼれないように上を向いた。


「話を進めるが、つまり俺が言いたいのは、お前は告白というものを経て、成長するべきだということだよ」
何故俺が告白しなければならんのか、ということを抜きにしても、誰に告白するのかっていう問題が浮上する。
ちなみに、俺は好きな人はいない。
何故ならば、漫画みたいにクラスのマドンナ的存在がいなければ、絶大的美貌を持つ生徒会長などいるだけで人を惹きつける存在などいないからだ。
理由として、上記のことだけでは説明不十分だが、端的に言えば、『フリーで可愛い子』がいないからだ。
「とりあえずやるだけやってみろって、な?」
美樹は、妙に上手いウィンクをして、俺の肩を叩いた。
「つっても、誰に告白するんだよ」
そう告白する相手が重要だ。
なにせ、ゲームでの告白だ、冗談が通じない相手だと、女子の間で最悪な噂が流れる可能性もある。
「んー、じゃあ、あの子は?」
美樹は廊下に歩いているセミロングの女を指差した。
ていうか、あの子は?ってどういうことだよ。
確実に知らない人だよな、知らない人にいきなり告白って軟派な野郎しかやらないだろ。
「ばっか、こういうのは、あえて知らないやつの方がいいんだよ、なまじ知り合いの子じゃ後腐れがわりぃだろ?知らねぇやつだったら断られても、もう二度と会うことねえから安心だろ?」
なるほど。ていうか、今、美樹の野郎、俺が振られる前提で話しやがったな。まぁ実際そうなるだろうけど。
「じゃあ、レッツゴー!、あっ、ちなみに告白の言葉は『迎えに上がりましたお姫様』な」
「は?」
なんだよその電波をひしひしと感じるようなセリフは……。今時、恋愛漫画でもそんなセリフ見ないだろ。
「だから、ゲームなんだから、ただ告白したらつまらねぇだろ?分かったらさっさと行ってこい」

……なんだか理不尽に怒られたけど、仕方ない。
俺は、廊下に出て、目的の女を探した。
女は、すぐに見つかり、俺はすぐさま駆け足で女を追っていった。

     

やっとのことで追いついたが、どうやって話しかければいいのか分からない。
いきなり「お迎えにあがりました、お姫様」なんて言ったら、頭の痛い人だと思われてしまうことは確実だろう。
しかし、普段口下手な俺は、初対面の女の子に話かける術など持ち合わせていない。
結局は、目の前に揺れるセミロングの髪を見ながら、俺は彼女に着かず離れずの距離で歩くことしかできない。

「……なんか用ですか?」
女の子がこちらにいきなり振り向いた。
「いや……ようっていうか……あの」
いきなりキョドるのは我ながら情けないとは思うが、致し方ないことだ。
しかし、これは緊急事態だ。
さっきまでは最終的にはなんとかなるだろうって楽観的に考えていたけど、こんなにも早く事態が展開するなんて思ってもみなかった。
頭の中に「どうしよう」という言葉がぐるぐると渦巻いていて、思考ができなくなっていった。

だから……。

「お迎えに上がりましたお姫様」
絶対に言わなきゃならない言葉が最悪のタイミングで出てしまった。
やっちまった……。後悔の念が俺を津波のように襲う。
絶対にどん引きしているだろうな、出会い頭にお姫様宣言だぜ?
俺だったらとりあえずブン殴っている。
「……はい」
やばい、完璧にどん引きされたよ。
もうなんか生きる気力さえも無くなってきた気がしてくる。
もうダメだ、早くここから駆け出したい。
気まずいのと恥ずかしいのと鬱なのが合わさって、俺の頭の中は、絵の具の赤や青や黄色の鮮やかな色に黒をぶちまけたように混沌としていた。

そして、俺は、いつの間にか駆けだしていた。

「おーい、どうだったよ?」
美樹は、ニヤニヤと笑いながら俺に尋ねてきた。

その顔を見た瞬間に苛ついたが、ここで怒鳴る気力もなく、ため息をつきながら俺は、美樹の隣の席に腰を下ろした。
「おいおい、マジでどうしたよ?」
美樹は、普段とは違う俺の態度に驚いたのか、普段なら滅多にしない俺への心配をしてくれた。
しかし、野郎――しかも、この落ち込む原因を作った張本人――に心配されても全然うれしくもなんともない。

「……普通にどん引きされただけだよ」
俺は、無愛想にそれだけを言って、窓の向こう側を見た、窓の外には夕焼け空が広がっていて、校庭の砂を茜色に染めていた。

「しっかたねぇなぁ、今日はもう帰るか」
美樹は、鞄を持って立ち上がった。
「まぁ……なんだ、今回は俺が悪かったよ。とりあえず、何か奢っちゃるよ」
美樹は、そう言うと、俺に手招きをしたあと教室から出ていった。
俺は、急いで鞄を取り、美樹を追いかけた。

しかし、美樹は良い奴だ。
別に、奢ってもらえるって言われたからそう思った訳じゃない。

美樹は、俺が落ち込んだ時には、飯を奢ってくれる。

その優しさのお蔭で、今も友達でいられるのだと思う。

……たぶん。






悪夢ともいえる事態が始まったのは、次の日の朝のことだった。
頭の良い諸君らならお気づきだと思う。
どこでフラグが立ったかを……。


俺が学校に着くと、俺の机の中にラブレターが入っていた。
苦節16年、誰かに告白されたことは勿論、ラブレターなんて古風で奥ゆかしき物なんてもらったことがない。
素直に感情を示すなら、めちゃくちゃ嬉しい。
自然とにやけてしまう頬を、なんとかポーカーフェイスに戻し、誰にもばれないように、ひっそりとバックに入れた。
もし誰かにバレようものなら、冷やかされるに決まっている。
俺は、他人を冷やかすのは好きだが、冷やかされるのは嫌いだ。

なんとか授業の開始までバレずにすんだ。
俺は、チャイムと同時にバックの中から慎重にラブレターと思わしき物を取り出した。

なんだが妙にテンションが高くなってきた、今ならなんだか今日いけそうな気がする。


ラブレターの封筒は、ピンク色で、ハートのシールなんかが貼ってある。
なんだかあまりにも典型的すぎて、誰かがイタズラでやった可能性も出てきた。
昔、一度だけ引っ掛かったことがある。
あのときは、みんなの前では、「最初から分かってたし!」と気丈を張っていたが、家に帰ってからは、毛布にくるまり号泣したものだ。
思い出したくもない黒歴史の一つだ。

なんだか、そう思えば思うほどこのラブレターが偽ラブレターの気がしてきた。

俺は、ナイーブなオーラを全身から放ちながら、ペリペリと封を解いた。

     

『拝啓 和哉さんへ


私は、貴方の事を今までずっと待っていました。

御都合が宜しければ、今日の放課後、第二棟の科学室で待っています。』


本物か偽物の比率は、8:2くらい……かな。
なんとも胡散臭いラブレターだろう。

しかし……なんだ、行ってみなきゃ分からないしな。本物か偽物か。
もし本物だったら可哀想だし。仕方ない行ってやろう。

俺はそう心に決め、心臓は高鳴らせながら、ラブレターを慎重に包み直し、ポケットに入れた。

それからの授業は、集中出来ず、ノートを取ろうとしても、黒板に何て書いてあるか分からず、散々だった。




「お前、さっきから何そわそわしてんだ?」
美樹からのふいの一言にドキリとした。
もしラブレターのことが美樹にバレようものなら、ネタにされるのが落ちだ。
美樹は、自己紹介の事件以来、自分からネタをするのではなく、他人をネタにするようになった。
迷惑な奴だ。


「何でもねぇよ」
「そうか?」
平静を装っていたつもりだったのだが、バレバレだったことに少しだけ俺は落胆した。
これでも昔は、役者になりたかったころがあった。今では絶対に無理だって分かってるけど……。
あの頃は、イケメンが大概主役を張ることを知らなかったからな。
所詮ブサイクは、脇役かそれ以下の扱いしかされないのだ。
なんと悲しい世の中だろう。

「まぁ、お前が何でもねぇつうなら、別にいいけどさぁ」
美樹は、口を尖らせながら言った。

「それよりさぁ」
美樹はガバッと顔を寄せてきた。
何かよからぬことを考えている厭らしい顔だ。
寒気を一身に感じた。
「な、なんだよ」
「前回の『告白!童貞の奇跡!』作戦は失敗したからさ、新しく考えたんだよ」
ニヒヒと笑いながら美樹は言う。
なんだよその作戦名は。
それに、どうせまたくだらない、俺に不利益なことだろう。
ああ、嫌だ。これでまた、「今度はクラスメイトでやってみよう」なんて言われたら、閉じかけた傷がさらに深く成りかねない。

「やっぱり、いきなり告白はねぇだろ。まずは、会話からだ」

美樹にしては、まともな作戦に俺は感心した。
「だから、まずは……あいつに話しかけてこい、んーと話題は……童貞をどう思うか……だな」
美樹は、クラスの中で可愛いと言われている安藤 夏美を指さした。
俺は反射的に無理無理と首を横に振った。
あれは無理だ。可愛いとかそんなことで無理なんじゃない。
安藤は、危険すぎる……。それに童貞って……誰に言ったってアウトだ。
夏美に悪戯したら確実に伸されるだろう。
「大丈夫、大丈夫、夏美ちゃんだってそんないきなり殴りかかるわけないって」
何を根拠に美樹は言ってるんだろうか。
殴られないのは、お前が美形だからだろ。俺がやったら鼻笑いされた後に、ノックアウトされること間違いなしだ。
高鳴り続けていた鼓動は、さっきとは別の「恐怖」という意味で高鳴り続けている。
ここでじゃあお前がやれよって言えない自分が恨めしい。
いや、言ったとしても、即冗談としてとらえられて、「やだー、美樹君ったらー」なんて普段の彼女からは聞けない猫撫で声で囁かれたりして……。
考えれば考えるほど鬱になってくる。

「とりあえず、やってみろって、な?」
美樹は人の気持ちを考えずに言ってくる。
こう言ったら、やるまでしつこく言ってくるのを今までの高校生活で学んできた。
だから、俺は仕方なく、やることを渋々と決意した。

しかし、本当に殴られたりしたらたまったもんじゃない。
慎重かつ冷静に行くべきだ。

「じゃあ、行ってこーい!」
美樹は、すでにニヤニヤと笑っている。
もしかして俺って苛められているのだろうか。

俺は、ゆっくりとそれに頷き、これまたゆっくりと安藤へと近付いていった。

幸いにも、安藤の近くには誰もおらず、安藤は読書をしていた。

俺は、安藤の近くに来たものの、何て話しかければいいのか分からず、行ったり来たりを繰り返した。
だってそうだろ?前みたいに、いきなり童貞とか言ったら、確実に伸される。

「何?」
しかし、俺が考えつく前に安藤は非道にも話しかけてきた。
俺は、もちろん、慌てふためいた。
頭の中では、童貞という言葉がぐるぐると回っている。

このままではヤバいっと思った、俺は、自分でも意味不明なことを言っていた。

「え……あの、よ、美樹が安藤の事が好きだってさ!そ…そう、美樹がさぁ、恥ずかしいから安藤に伝えてきてくれって言ってさぁ」
自分でも何言ってんだこいつって思った。
しかし、今更やめられない。
大丈夫、元はといえば、美樹のせいなんだから、これは因果応報だ。
それに美樹なら冗談で済ませられるだろう。

「それ……本当に?」

安藤は、心なしか頬を赤く染めている。
一瞬、本能がヤバいっと感じだが、ここまで来たら後には引けない。
「ああ、そうだよ、とりあえず美樹のアドレス教えておくよ」
俺は安藤に美樹のアドレスを赤外線通信で送り、バイバーイと安藤に別れを告げ、美樹の元へと戻った。


「で、どうだった?」

「いや、え……と、普通だったよ」
ここで本当のことを言っていたら確実に殴られるな。
嘘をつくのは仕方ないことだ。
そう自分に言い聞かせた。
「なーんだ、面白くねぇの」
美樹は、明らかに落胆した顔をして、携帯をいじり始めた。
地獄へのカウントダウンが始まっていることも知らずに……。



遂に、運命の放課後となった。
俺は、緊張感を漂わせながら、その時を待った。
俺が今いるのは、科学室だ。
今のところ、誰かが来る気配はない。
ふぅ……と一息つく。
やっぱり悪戯かよ、と俺は若干落ち込みながら、ここにいてももう仕方がない、と科学室から出ようと、ドアに手をかけた。


「あっ……」
俺がドアを引いた瞬間、正面には、いつかのセミロング少女がいた。
もしかしてこの子が?と、一瞬考えたが、あの最悪な出会いから、こんなことになるとは思えない。
もしかして科学部の部員だろうか?しかし、科学部なんて部活あっただろうか。
まぁ、いいや、この悪戯ラブレターで傷ついたピュアなハートを癒すためにさっさと帰って毛布にくるまろう、と思い、俺は、セミロングの少女を一瞥したあと、そのまま廊下を歩いていった。



今、不思議なことが起きている。
何故か、2メートルきっかりの位置でセミロングの少女が着いてくる。
もしかして、昨日の悪戯に腹を立てて、仕返しをしようと思っているのではないだろうか。

まてまて、もしかしたらあのラブレターは、実はセミロングの少女の仕返しなのかもしれない。
ラブレターではしゃぎ回っている俺を見て、笑いものにしようと……。
くそっ、ピュアでいたいけな少年の心を弄びやがって。
だんだん苛々としてきた俺は、遂に、セミロングの少女に立ち向かうことにした。
「おい、さっきから付いてきてなんなんだよ」

セミロングの少女は、ビクッと体を震わせた。
そのあと、ニコリと微笑み。
「お待ちしておりました」

不覚にもドキリとしてしまった。
彼女の笑顔は、俺が今まで見た中で一番と言っていいほどの素敵な笑顔だった。


「お待ちしておりました……って?」
「貴方をです」
お待ちしておりましたか……、ラブレターの内容と同じだ。
まさか、からかっているのか?しかし、別にそんな様子には全然見えない。
俺の考え過ぎか……。
しかし、そうなるとラブレターは本物ってことだろうか?そうするとセミロングの少女は……。
「読んでくださいましたか?」
セミロングの少女は、穏やかな様子で聞いてきた。
やっぱり、そうだ。
しかし、何故?昨日のことから、どうやってラブレターに繋がるのか、全く分からない。
俺が美樹みたいな超絶美形だったら分かるが、俺は、せいぜい中の上から上の下くらい(しかし、髪の毛が目まで掛かっているせいで根暗に見える)だ。
惚れられる様子は、今までの経験から言って、0に等しい。
何せ、中学の時のあだ名は、『駄目な鬼太郎』だ。そんな俺を好きになるやつがいるのか?

「なんで、俺なの?」
「え……」
そこで困られても、こっちが困る。
俺を好きになった理由は是が非でも聞きたい。
「あなたが言ってきたから……」
「え?」

「お姫様って……」

呆然とした。美樹……まさか、お前はこれを狙っていたのか?
まさか、あんな良くて冗談、悪くて痛い人としか捕らえられないような、セリフがこんな効果を発揮するなんて。
何故か、うっとりとしているセミロングの少女を見やる。
これは、もう行くしかない。これを逃したら、絶対にもう魔法使い決定だ。

「私と付き合ってください」

少女は、恥ずかしそうに頬を朱に染め、頭を下げた。
「……おう」
俺は、素っ気なくオーケーを出し、心の中で小躍りした。





これが俺と電波女の馴れ初めである。
無論、このときは、電波女だなんて全く思っていなかった。

       

表紙

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Neetsha