Neetel Inside 文芸新都
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5-7.山菜屋さんの小さな扉は固く閉ざされたままだった。

僕は小屋の扉を叩いた。

「こんにちは!!山菜を買いに来ました!」

小屋の扉は開かなくて張り紙がしてある「本日終了しました」そんなバカな!

僕は山菜を買うためにここまできた。いろいろなものを見捨てて山菜を買いに来たんだ。
それなのに閉店ってどういうこと?明日まで待たなきゃならないってどういうこと?

「お願いします!!開けてください!!」

眼が熱くなって泣きそうになるのがわかったけど知らないふりして叫び続けるそうだ山菜のためならどんなことをしたっていい何を失ったっていい。
「願いします山菜を売ってください!!山菜を買うためにここまで来たんです!!」
僕は山菜があればなにもいらないのにその山菜が手に入らないいろいろなものを捨ててきたトム。ボブ。キャサリン。ジョナサン。ジージー。ジョグリー。僕のために落ちた。

「山菜を売ってくださいお願いしますなんでもします山菜をくださいたすけてください!!!!!」

何の声もしないこの小屋には誰もいないの?
「お願いしますお願いしますお願いします山菜を買うためにここまで来たんです僕は」
山菜を買うためにここまで来たんですみんなしんだけどぼくだけいきのこったうさぎはぞんびになっておにいちゃんはまちくたびれてじげんばくだんによってまちがふきどんできのこにされたおうさまはくまにたべられてぼくのからだにみつかったぜつぼうてきなびょうきはげんざいしんこうちゅうで

突然胸が苦しくなって眩暈がして地面に倒れた。あちこち痛くてトマトケチャップはぬるぬるだけど止めたくても止められない鼻血みたいに何の感触も無く眼から流れる涙が身体中の血を洗い流してくれる山菜をくださいお金は300円しかないけれど売ってくれないならこの小屋を焼きます僕の右手のライターで山菜を売ってくださいさんさいをさんさいさんさいさんさいさんさい

さんさいさんさいさんさいさんさいさんさいさんさいさんさいさんさいああああああああ

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

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