Neetel Inside ニートノベル
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ジャック「サポートします。目くらましぐらいにしかなりませんが……およ? ……ない?」
 なにやらジャックは自分の腰の周りをぺたぺた触っている。どうした? チンチン取れたの?
ゼンラー「探し物はこれですか」
ジャック「私のレディスミスが!」
ゼンラー「拳銃なんて使っちゃ駄目ですよ」
 ゼンラーは銃口をジャックに向けながらそう言った。
 ってかニューナンブじゃないんだな。それとも自分の銃に名前付けてんの? ハズカシ。

 ほどなくして、ゼンラーの股間じゃない方の拳銃が火を噴いた。お~、ものすげー音がしてる。あんなにパカスカ撃てるもんなのか。
 こりゃあ、ジャック死んだんじゃね? こっちに撃ってこなくて良かった。
 拳銃が鳴り止んだ。硝煙を上げる拳銃。対峙するは無傷なジャック。なんでじゃ。
ジャック「盗みに特化したテレポーターですか。油断しましたね。しかし、オナニスキー粒子をまとう者に銃器は効きませんよ。あなたなら知っているでしょう?」
ゼンラー「ええ、軽いデモンストレーションです」
シゴキ「……銃が効かない? そいつはいくらなんでも無理があるぞ……」
ジャック「そうですか?」
シゴキ「そうですとも」
ジャック「そうですねえ……水が銃弾を通さないのと似たようなものですよ」
シゴキ「水?」
ジャック「はい。銃を水に向かって撃った場合、銃弾は水に着弾した瞬間に粉々になってしまうんです。口径の小さい銃なら粉々にはならないそうですが、それでも殺傷能力は弱まります。
この前テレビで、プールに対物ライフルぶっ放してるオッサンがいましたが、水柱が上がるだけでプールの中に置いてあるモノは無傷でしたよ」
シゴキ「おお! そのうち粉塵爆弾みたいに使い古されそうな現象だな」
ジャック「さすがに大型ライフルで撃たれれば、かなりの衝撃を受けて無傷ではすまないでしょうが……やはり有効なのは、オナニスキー粒子をまとった武器を使うこと。または面による衝撃を与えることでしょうか。
それよりも」
ゼンラー「もう話は終わりましたか?」
ジャック「もう少し待っていただけ・・っ! よけて!!」
 突然のジャックの大声に驚いたが、体が反応出来なかった。生暖かい風が体を通り抜けていくような感じがした。
 クソ、何か取られたか!? 武器になるようなモノは持って無いが……。携帯はある。財布もある……何だ? まさか心臓抜き取られたりしてないよね?
 ふとゼンラーに目をやると、手に丸いモノが握られている。
 何だ、ありゃあ……あぁっ! それが何か気付いた瞬間、激痛が走る。あれは俺の……
ゼンラー「あなたの睾丸ですよ。見るのは初めてでしょう?」
 お、おれのタマが! 言いようのない痛みが股間を襲う。うずくまり身動きが取れん。
ジャック「シゴキさん! ッ! 一旦、退きます!」
 俺は、めのまえが まっくらに なった。


 体が軽くなり引き伸ばされるような感覚に包まれる。こりゃ、あれだな。テレポートだ。
ジャック「……ふぅ、とりあえず1kmほど離れました。シゴキさん、大丈夫ですか?」
シゴキ「うぅ……俺はあれから何日寝てた?」
ジャック「三十秒です。現実逃避しないで下さい」
シゴキ「冗談だって。それにノリで痛がってみたけど、言うほど痛くないかもしれん。いや、痛いことは痛いよ? でも痛みより怒りが勝ってるっていうか……傷も見えないし」
ジャック「その意気です。なるべくゼンラーは、ここで倒しておきたいですからね。これが終わったら必ず病院に行きましょう」
シゴキ「やっぱりテレポーターは、さっさと始末しておきたいよなあ。ずるいもん」
ジャック「はい。ですが、それは向こうも同じだと思いますよ。なんとか私を倒しておきたいでしょうから……仲間を呼ばれたりすると厄介です。早く行動に移りましょう」
シゴキ「その心配はないと思うぜ。狂信系のキャラだったから、会社に余計な負担はかけまいとして、まずは自分で何とかしようとするはずだ」
ジャック「なるほど……! 今確認しましたが、ゼンラーは私達を探し回っているみたいですね。近付いてくる性欲の強い人もいません。読みが当たりましたね」
シゴキ「感知能力、便利だねえ。と言っても、あんまりチンタラしてたら帰っちゃうかもしれないからな。早くどうやって倒すか考えないと……ジャックはあいつみたいにタマ盗んだり出来ないの?」
ジャック「出来ませんね。スイマセン」
シゴキ「じゃあ、テレポートで後ろに回り込んで、バットで後頭部フルスイングってのは?」
ジャック「テレポートは少しタイムラグがありますし……ましてや相手は同じテレポーター。気付かれる可能性は高いですね」
シゴキ「じゃあ、ビルの屋上から植木鉢やダンベル落とすのは?」
ジャック「動いている標的に当てるのは難しいと思いますよ。それに確実性に欠けますね。出来れば、戦うことなく終わらせたいのですが」
シゴキ「そりゃそうだ。もう一つのタマも取られるわけにはいかんからな」
ジャック「かと言って、覆面して近付くわけにもいけませんし。気付かれないように素早く接近するか、又は遠くから攻撃する手段が必要ですね。それも、ゼンラーが気絶するほどの強烈な一撃を持った」
シゴキ「気付かれずに、遠くから、一撃でか……。おっ! あれなんかいいんじゃないか?」
ジャック「どれで……あ、あれですか!? たしかに人を殺すこともある兵器ですが……本気ですか?」
シゴキ「マジですよ」
 よっしゃ、にっくきゼンラーのタマ取ったらぁ!

       

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