黄昏
ボツ話
葉子は3度もあの男に出会っていた。いや、遭遇したという表現が適当だろうか。
しかし、彼女には確信があった。
「寺田と私は運命の精子で結ばれている。むへへ」
今日は彼氏であった浩二が死んでからちょうど2週間が経った日だ。彼女にはまだあの日の事が色濃く脳裏に焼き付いていた。
精子をレーザービームのように乱射、いや連射、いや速射しながら走り回る感動は彼女と寺田にしか共有できないものだった。
他のどんな人間にも触る事の出来ない、無限の感動と快感。
彼女の心にはいつも寺田がいた。
あの人に逢えるかもしれない
そう思い、今日も仕事を休んでフラフラと街へ出て行った。浩二が死んでからというものそんな生活が続いていた。
いつもは当ても無くさまよっていた彼女だが、今回は彼女の祖父の家に行ってみる事にした。
それほど遠くはなかった。電車で30分程のところだ。葉子は精子を乱射しながら電車に乗り込み、電車に揺られるたびにドクドクと精子を垂らしながら祖父の家へと向かった。
以前から全く変化のない家だ。変わりようが無いのかもしれないが。そんな家が彼女はとても好きだった。
気持ちが不思議と落ち着いた。
しかし、寺田に出会ってからというもの、彼女の世界観は完全に変わっていた。
今では、その家など彼女にとっては、精子をぶちまけるための標的に過ぎなかった。
彼女は、マンコから出るはずの無い大量の精子を大砲のような轟音とともに発射し、家に攻撃を加えた。
ムヘヘ
思わず意に反して出た言葉だ。当初は戸惑ったが、今ではなんとも気にならなくなっていた。むしろ気持ちよかった。
彼女はドアを精子で解錠し、中にいる祖父と話した。祖父はブリーフ一枚でパラパラを踊っていて、ノリノリであった。
話せるような状況では無かった。
葉子は精子をマグナム球のような速さで速射し、ブリーフ一丁の男を瞬殺した。
むへへ
彼女は部屋中をくまなく探索した。すると、一冊の日記帳が出てきた。すでにかなり古ぼけて、ボロボロだった。
そこには、彼女の祖父の戦時中の話がつづられていた。その文中に、「寺田」の文字を発見した時、彼女の胸は踊った。
読んでみる。
「1944年 6月7日
本日も快晴なり。ムヘヘ
ムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘムヘヘ
前置きはこのくらいにして。
今日は戦友である寺田とともに、米兵狩りに出た。
寺田は、辺り構わず精子をぶちまけていた。
ビューーーーーービューーーーーーー!!!!!!
辺り一面銀世界と化した。
寺田は満足げに精子大砲をしまうと、ムヘムヘ言いながら寝床へ帰って行った。」
葉子はいつの間にか鮮烈な精子をぶちまけていた。日記に穴があくほどの。