第11話 ホワイトライン
広平はビルの清掃員だ。アルバイトである。
このアルバイトで金をためて、上京するのが夢だった。
今日も清掃員用ズボンからチンコだけを露出させながら、ビルの床を綺麗にして回る。
それほど大きいビルという訳でもないが、エスカレーターとエレベーターがある。
何より楽なのはエスカレーターの掃除だ。流れてくる手すりに、濡れ雑巾を押し付けているだけで終わってしまう。
毎日、最初に取りかかるのは決まってこのエスカレーターの手すりだった。
広平は、毎日使ってぼろぼろになった雑巾を手すりに押し当てた。
ブイ~ン
ちょうど、社員が出社して来る時間のようだ。スーツからペニスを露出させた男性社員を先頭にどんどんと社員が押し寄せてくる。
その社会人という名の重い鎖をぶら下げた社員が彼にはとても哀れに見えた。
広平には上京する事以外にも夢があった。
彼は昔からギターをやっていた。
その弦を自分のチンコに擦り付けまくる事が夢であった。
そして最高の快感を得るためには最高のギターを買う必要があった。
広平がオナニーシンフォニーを奏でるのだ。
このビルの社員を見ていると、自分はなんと自由な身なのだろうと思った。
彼らはこの先、ひたすら毎日のように同じ時間に起きて出社し、やりがいの無い仕事を続けるのだろう。
昔から、そんな人生だけは嫌だと思った。自分の人生は自分で作る。作る材料は自分で見つける。
そんな事をボーッと考えていると、自分で掃除しているエスカレーターの手すりに妙な違和感を覚えた。
ムニュムニュした感触だった。
なんだか、上の方から手すりの正中を白い線が広平の手元まで流れて来ている。
「なんだこれ?」
階上に目を凝らすと、男が一人素っ裸で立っているようだった。
顔はよく見えないが、その男が何をしているのかはすぐに分かった。
彼は、エスカレーターの手すりにチンコを押しつけ、感じていたのだ。
「オオゥオオゥ!」
ビュル!ブブッという音がした。
「なんの音だ!?」
しばらく身構えたが、何も起こらない。
「なんだったんだ?」
ふと下に目をやると、広平のチンポコが白い液が出しまくりながら果てていた。
ブビビビブイビビウビビビブビイイイビイイイイイビイイイイビイイ!!!!
とんでもない音が階上から聞こえた。
広平がハッとした時には遅かった。目の前が一瞬にして白くなった。どうみても精子だった。すんげぇ感動していた。
彼の夢が一瞬にして全てどこかへ吹き飛び、無意識のうちに彼はムスコをしごきまくっていた。
自分の新しい人生を見つけた気がした。
「ムヒヒ」
そう言うと、チンゲをむしりながら、走り回り、当たりにいるチンコ丸だしの社員にカルピスをぶちまけまくって、ビルの外へ走っていった。
俺はどこだ。俺は何なんだ。俺は・・・俺は・・・
彼の思考は完全に停止した。かれは、ただ精子をぶちまけるだけの、自動式精子発射マシーンと化していった。
気付くと広平はお花畑にいた。