Neetel Inside 文芸新都
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黄昏
第十二話 『Hitching A Ride』

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第十二話 





日本で何十年ぶりかに冬季オリンピックが開かれた。
会場は北海道であった。
この冬季オリンピックを目標に、選手達は必死で血を吐くような練習を積んできている。
中山 祐介もその一人であった。小学校5年生のときからボブスレーを始め、その魅力に取り憑かれてここまでの人生を生きてきた。すでに38歳。今年で引退するつもりだった。
きっかけは、幼少の時に親に連れられて見た、冬季オリンピックボブスレーであった。
どこの国であったかは既に記憶に無いが、どこかの国のチンポコの形をしたソリが猛スピードで走り抜けていく姿が、彼の心を打った。
いつかはボブスレーをやりたいと思い、親に懇願して始めたのだ。
楽しかった。ヘルメットをかぶり、氷のコースをソリで駆け抜ける。
スピードに快感を得る事がこれほどまでに楽しいとは。何度も何度も白濁液をぶちまけながらコースを疾走したものだ。

そして明日。彼のボブスレー人生の終焉となる最後の冬季オリンピックが開催される。どういう奇遇だろう。最後の開催地は彼の生まれた地、北海道であったのだ。
それを知ったときは、血が出る程に勃起した。

今日は最後の調整のため、幼少の頃初めて通ったボブスレー教室に向かった。
そこで彼はボブスレーの全てを教わった。
着くと、既にさびれきったコースがあるだけだった。もう既に何年も使われていないのだろう。
中山は彼の心が泣くのが分かった。
しかし不思議な事に、涙は出ず、より一層の決心が固まっただけだった。
彼がコースを去ろうとしたとき、背後から突如、
シャー!
という、ボブスレーが勢いよくコースを駆け抜ける音が聞こえた。ハッと振り返ると、一瞬肌色のソリが彼の目の前を疾走していった。
心が踊り、流行る気持ちを抑えながら彼はゴール地点まで走って駆け下りた。
息を切らしてゴールを見ると、そこには男がいた。肌色のスーツを着ていた。
その男は中山に親しげに手を振っていた。中山の場所からではそれが誰かは確認出来なかったが、明らかに裸であった。
心が射精するのが分かった。
何かに吸い寄せられるかのようにその男に近づいた。寺田だった。彼は勃起していた。



「ムヘヘヘヘムヘエエエエエエエッッッッッッヘヘッヘメウヘウヘエウッイフ!」
中山は自分でも何を言っているのかは分からなかった。無意識に、両手が股間をまさぐっていた。
氷点下の中、彼はズボンをおろし、チンコを露出してボブスレーのコースを駆け上ろうとした。
転んでしまった。痛みは無い。むしろ気持ちよかった。
中山はチンコ丸出しで雪山を駆け上った。
その後ろ姿を、笑みを浮かべながら寺田は見ていた。

翌日。ついに本番の日がやってきた。
選手控え室には中山の姿は無かった。なんの連絡も無いため、遅刻だろうと思われていたが、彼の出番が近づいても一向に姿を見せなかった。
大会本部は棄権と見なし、中山の選手権を剥奪した。
しかし、ボブスレーのコースには何故か中山の姿があった。ヘルメットをかぶり、下半身裸でスタート地点に仁王立ちしていた。
レポーターも焦る。
「あれは、中山なんでしょうか!?ここから顔を確認する事は出来ませんが、滑ろうとしている模様です!」
中山がスタート地点に座ると、座禅を組み、シコシコし始めた。
そして、彼はその状態でおもむろにスタートを切った。しごきながらコースを猛スピードで駆け下りていく。そのスピードに誰もが感動した。
中山、いや、寺田はゴール直前になると、滑りながら後ろに倒れ、突如チンコの先を後ろに向けて、更に激しくシゴいた。
確かに聞こえた。


ムヘヘ



ドビュルップウウウウウウ~~~~~~
とんでもない音と共に、寺田の兵隊達が放たれた。寺田は一気に加速し、世界最高速度でゴールを切った。
寺田の顔には確かに笑みが残っていた。
その場にいた関係者は全員、座禅を組んでマスをかいた。

       

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