Neetel Inside ニートノベル
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ようやく千代里が俺の異変に気づいた
「…智!?」
「アナタハ、ダレ?」
「…そう...強制アクセスされたのね…」
少しずつ千代里の体が透けてきた
「…あなたとももうおわかれなのね…」
「………」
俺は何も言うことができず千代里が一人で語りかける形になっている
「…それじゃあ私はもう行くね…
私……」

「…智のこと好きだったんだよ」

「………」
言い終えると千代里の体が肉眼で確認できるぎりぎりまで消えてしまった
宙で一粒の涙が光る

戦いは終わったのだろうか?
千代里は記憶から消え
また孟も俺の脳にアクセスしたため
消えるのか?
もういなくなるのか?
俺の親しい人たち
全ては俺の脳の奥に封印されてしまう...
チヨリ?
チヨリとはちよりであり千代里…
「....千代里~!!」
俺が目を覚ましたのは
いつも千代里が大声や溝打ちで起こしてくれた
俺の部屋のベットの上

「...俺は…俺は思い出したんだぞ…!?
千代里を思い出したのに…!」

俺は無理に思う
これはいつもと変わらない日常
前と同じに戻ったんだ
ただ千代里と孟がいないだけ…

涙が自然にわき出てきた

だが学校へは行かなくてはいけない
俺は一人で思い出を脳裏に浮かべながら通学路を行くのだった

楽しい日々
辛い戦い
その中の休息

思い浮かべるときりがない

時間が過ぎるのは早かった
気がつくと校門の前だった
「あれ?この校門前にどこかで…」
高さは俺の身長の6倍はあった
「こ…ここは!脳波学園!?」
俺は思い出した記憶をたどりすぎて
コッチへ来てしまったらしい
とりあえず教室へ行ってみることにする

ガラガラッ

「…智」
「えっ?」
俺は一度目の前にある光景を疑った
「…おはよう、智」
なんと千代里が平然と席につき
俺に挨拶してきたのだ
「ち…千代里!?」
「…何驚いてんの?智が私を思い出したから記憶にいるのは当たり前でしょ?」
「そっそうだけ…」
言いかけで止まった
千代里と目が合ってしまったのだ
今の千代里の目はあの時の威嚇する目とは違かった
「…あのっ」「えっと」
二人で同時に言った
「…智からでいいよ」
「千代里から」
「…もう一度―」
「あぁ…行こう!アッチへ!」

俺たちに記憶と現実の壁なんてない
関係は続くのだ


第一章 完

       

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