Neetel Inside ニートノベル
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 昼休みというのは普通友達とご飯を食べたり、話したり遊んだりする時間である。
 それなのに、それなのに……

『きゃー♪ 優希くん可愛すぎるー♪』
『女神だ。女神が現れたんだ……』
『今日のオカズの登場だ……』

 なんだよこれ。
 何でご飯を食べる時間を削られてまで、変態共の行為に付き合わないといけないのだろう。
 僕は平和にご飯を食べ、楽しく会話をしていたかっただけなのに……
 それなのに――

「何で女装させられないといけないんだよぉーっ!?」


 おかしい。何かがおかしい。
 何処で道を間違えたんだ? どうしてこうなった? 
 午前の授業が終わり、僕はお昼ご飯を食べようとしていた。そこまではどこも問題は無い。
 そして、鞄から弁当を出した時、
『ねぇ、優希くん。こんな服があるんだけど……着てくれないかな?』
 一人のクラスメイトが嬉しそうな顔をして自分の鞄から一着の服を出してきた。
 恐らくここの時点で僕は道を踏み外したんだろう。
 僕は何も悪くは無い。けど、ここで彼女に服を出させてしまった。これがいけないかった。
 それが僕の失敗。
 そこから先は僕の意見など、完全に無視して物事が運んで行った。
 そして完成したのが――

 ヒラヒラのフリルの付いた可愛らしい服を着た一人の女の子。もとい僕なんだけど……
 さすがに女装させるのはどうかと思う。しかもご丁寧にウィッグまで用意してるなんて。
 男がスカートを穿いているなんて気持ち悪いだけなのに。なのに……

『や、やばいよ……もう自分を抑える事が出来ないかもしれない……』
『ああ。捕まるのを覚悟で優希に手を出そうか……』

 怖いを通り越して、死んで欲しいと思うよ。
 クラスメイトの異常な眼差しに恐怖を覚えつつも、ふと一瞬禍々しい視線を感じた。
 恐る恐るその視線の先を見てみると、
「優希の奴め……朝から俺を悩殺しておきながら、更に可愛い姿を見せるとは……優希、恐ろしい子!」
 いた。ゴミ野郎がいやがった。
 登校して姿を見なかったからもうすでに死んでると思っていたけど、まだ生きていやがったよ。
 しかも、聞いてるだけで鳥肌が立つような事を言ってるし……
「このままだと午後の授業がヤバイな。始まる前にトイレに行ってスッキリしておくか」
 うわぁ……マジで死んでくれないかなアイツ。
 何でもいいから死んで欲しい。
 別に面白い死に方なんて期待しないから、普通に死んで欲しいよ。
「あはっ♪ モテる男は大変ね♪」
「それ全然褒めてないから。あと、少しは助けようとか思わないかな?」
 ジト目で抗議しながら百瀬さんを睨む。
「あははっ♪ それは無理な相談だわ」
「何で!?」
「だって、私は優希が色々と苦労してるのを見るのが好きだからね♪」
「…………」
 何この人? 笑顔で人が苦労するのを見るのが好きとか言っちゃってるよ。
 変な人だという認識は前々から持っていたけど、少しばかり認識を改めないといけないな。
 百瀬さんは変な人であると同時にドSなのね。
 何で僕の周りにはこんな人しか集まらないのだろうか?
 神様の悪戯としか思えないよ……
 
 そう。決して、類は友を呼ぶの法則に当てはまっているわけでは無いんだ。
 絶対に……


 ――地獄の昼休み――
 そう表現しても問題ないくらいの時間を僕は過ごした。
 何が酷いかって? それは色んな服を着させられるのは勿論のこと、他のクラスからも僕の姿を
見ようと教室まで沢山の人が押し寄せて来ていた事だ。
 ただでさえ恥ずかしい恰好を多くの人に見られた。

 ある人は僕の姿を見て興奮のあまり失神し、
 ある人は謎の奇声をあげて何処かに走りだして、
 またある人は必要以上に写真を撮り、
 何人かは、股をモジモジとさせながらトイレへと駆け込んでいた。

 これを地獄と呼ばず何と呼ぶのだろう?
 とにかく僕にとっては最悪の時間だった。それだけは間違いが無い。
 まさか学校全体が変態の集まりだったとは……
 僕はこんな変態だらけの空間で無事卒業する事が出来るのかな?
 何か間違いが起こりそうでかなり怖いんだよね。
 
 身の危険を感じながらも僕は学校に通う。
 自分の身は自分で守るしかない!
 特別、格闘技の心得があるわけじゃないけど、何か対策を考えておいた方がいいだろう。
 だって、周りは変態ばかりだから……

       

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