Neetel Inside ニートノベル
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「・・・うーん・・・」
ベジータは眠っていた。
(なぜか眠くて体がけだるい。しかもやけに辺りが騒がしいぞ。今は何時だ?俺はさっきまで・・・)

バッ

「な、なに・・・」
深い眠りから覚めたベジータは、目の前に広がる光景に思わず目を疑った。
辺りにたくさんの人々。やかましい子供の声に、そしてメリーゴーランドや観覧車など、まるで遊園地だ。
「ここは・・・どこだ?ブルマ。トランクス・・・」
どうやら俺はベンチで寝ていたようだ。しかし、なぜこんな場所にいる?さっきまではブルマやトランクスと同じ部屋にいたはずだ。それが・・・
「なぜ・・・なぜなんだァーーーーーーーーー!!!!」
わけも分からず俺は叫ぶ。ベジータの周りにいた人々は、驚いて奇妙な髪形のその男を見た。
「くそったれーーーー!!一体ここはどこだーーーー!!」

バシューーーー

不安に駆られたベジータは、自分に向けられた視線も気にせず空を飛んでいった。
「ひ、人が・・・飛んでった・・・」
「な、なんなんだ・・・今のおっさん・・・」
「トリック・・・でしょうか・・・」
呆然としている大人たちに混じって、歩美、元太、光彦の三人はベジータの消えていった空を見つめていた。



 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

ベジータは当てもなく空を飛んでいる。
(おかしい、おかしいぞ・・・俺たちの住んでいる地球と全く同じ広さだ)
さらに速度を増してベジータは飛ぶ。
「この調子じゃ後十分足らずでこの星を一周するか。それにしても、この星の文明はなんて遅れてやがるんだ・・・」
もしかして、俺は何か悪い夢でも見ているのか?もしかすると今は夢の中にいるのか?
「よし、それなら・・・」
飛行スピードを落し、体の力を抜く。眼前に街が見える。徐々に落下していく。それでも飛ぼうとしない。地面がどんどん迫ってくる・・・迫って・・・

ヒュ ドォォォォォォォォン

「ぐ、はぁ・・・」
コンクリートで舗装された道路に、ベジータは頭から落下していった。ベジータを中心に月のような巨大なクレーターが道路の真ん中に出来上がってしまった。
(何という激痛だ・・・夢じゃない!?)
幸い車や人には被害はなかったが、辺りにいた人々がどんどん群がってきた。
「なんだ、どうしたんだ今の!!」
「隕石が落ちたぞ!!っておい、人がいるぞ!!」
「おい、カメラ無いかカメラ!!」
一人、二人からたちまち数十人の野次馬の群れがベジータの作ったクレーターを取り囲んだ。
「ちくしょう・・・」

ピーポーピーポー

この音には聞き覚えがある。警察のパトカーか。それとも救急車か。
今のベジータにはそんなことはどうでも良いことだった。いきなりわけの分からない別の世界へ連れてこられたようだった。
「ん?別の・・・世界・・・?」
聞き覚えがある言葉だ。いつ聞いたんだ。そういえば・・・
「おい、誰かいるぞ!!救急車呼んで!救急車!」
野次馬の一人のおばさんがベジータを見て叫んだ。
(ここにいれば厄介ごとに巻き込まれそうだ。チッ、くそったれめ・・・)

バシューーーーーン

ベジータは空高く舞い上がった。下から何か叫び声が聞こえたが、よく聞き取れなかった。
「思えば、あの遊園地で目が覚めたんだ。そこにいけば何か分かるかもしれない。うかつだったぜ、俺としたことが・・・」
先ほどの遊園地の方向へ、ベジータは飛んでいった。五分ほどで目的地に到着するだろう。
そのとき、ふと脳裏に一つの言葉が過ぎった。

 「違う違う、そんなものじゃないのよ!それがねえ、カンタンに言うと別の世界に行ける機械なのよ!」

「あっ・・・」
おかしな白い物体を抱えたブルマが、頭に思い浮かんできた。

つづく

       

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