Neetel Inside ニートノベル
表紙

わが地獄(仮)
莫迦が!

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おや ここはどこだ

ほほお、どうやらおれは死んだらしい

なるほど剣折れ槍折れ手足も折れとる

天地がかたむいているのも、おれの首が折れてるからか



なるほどどうやらおれは死んだらしい

となるとどうやら負けたらしい

そいつは弱った 負けまい負けまいとして土をも喰らって生きてきたこのおれが

どこでどうしたものやらこんなところで打ち倒されるとは思わなんだ

敵のかしらを潰して砕いたこの腕も

敵のきびすをさばいた払ったこの脚も

おれの言うことに、もう耳を貸してはくれないようだ

泥の中をかいて進めば いつか光にぶち当たろうとも思えたが

どうやらおわりはつまらぬ落盤

笑えることに おれがつくった道こそが おれ専用の凶器だったというわけだ



いつかおわりが来ると信じて 陽よりも熱き報いが我が身を清めると信じて

抗い続けてきたこのおれが

突きつけられた文章が 犬死の二文字とは

神というのは大嫌いだったが それにくわえて莫迦だとは

さすがのおれも信じたくはなかったぞ



莫迦が! おれを生かしておきさえすれば

きさまなどが思いもつかぬ抜け道を探し出し 掘り進み

おれをわざわざ殺しさえしなければ

きさまなどがおよびもつかぬ切り口を見つけ出し 斬り進み

そうしてきさまへ示してやりさえしただろう

黄金の京 この世の果て どんづまり 至高の一手の在り処にさえな!

だが おまえはおれを殺してしまった

おまえはいうはずだ おれが土を掘ったがゆえに おまえは死んだと

確かにそうだ おれがきさまの言うとおり おとなしく

毎日を重苦しい曇天の下で耐えがたき気圧に見舞われておりさえすれば

わざわざ言われんでも おれが生き延びていたことくらいは知っている

だが おれは そんな生涯を求めてなんぞはおらんのだ

おれが求めるのは 血を噴くような狂熱と

そのちからを確かめる 生贄の鉄板

その鉄板をだ おい聞けよ こんな風にだ

おれの打った刀でもって おれの願ったとおりにだ

傷をつけて 切り刻んで ばらばらにして

そしてどうやらおれと悪魔の共通因子らしい魂のかたちというものを

おれのアトリエの いちばん陽があたるところに 飾っておくこと

そのために おれはおれのからだをも打ち破るほどの 狂熱をもって

土を掘ったのだ 泥をかいたのだ

おれの鉄板になってくれそうな やさしい色をした 土にまみれたわが夢を

求めてはいかんというなら そのときが このおれの真のおわりというものだ

だから おれは負けたが あんたも負けだ 神とかいうの

あんたはおれを 生かしておくべきだった

あんたのその傲慢な退屈 孤独 憤怒を

わかってやれるのはおれだけさ

それをだ おまえ おれがおまえの悪をよく知っていそうだからといって

ひとおもいに殺してしまったが大間違い

これできさまは完璧に 生涯ひとりぼっちがさだめとなった

莫迦が! おれを生かしておけばいいものを

おれだけが きさまを解し きさまを憐れみ きさまの歯の軋む音を聞いてやれたというのにな

もうおそい! おれは死んだ きさまが殺した

いまさら後悔しても おそいのだ

そんなこと おまえはとっくに 知っていただろうに














       

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