わが地獄(仮)
闇の道
暗闇を歩いている。
どこからきたのか、どこへいこうとしているのか、わからない。
ただ歩いている。
俯いているのか、顔を上げているのか、それもわからない。
ただ歩いている。
左から光。俺はそれを飛んで避ける。こちらも応戦、右手から光弾を放つ。敵の気配が闇に溶ける。
俺はまた歩き出す。
途中で現れてくる敵の影を撃ちながら歩く。
敵。敵ってなんだろう。そんなこともわからずに撃ち続ける。
ぎゃっ
敵が倒れた。近づいていって顔を蹴る。知らない顔。死んでる。どうでもいい。
歩く。
だんだんと感覚が鋭敏になってきて、敵が撃ってくる前に敵を撃ち斃せた。やった。俺ってすげえ。でも誰も褒めてくれない。
歩く。
そして気づく。敵が撃ってくる前に撃ち殺してしまったら、倒せたかどうか、そもそも敵がいたのかどうかさえわからない。
それでも撃たれるわけにはいかないから、俺は撃ち続ける。ひょっとしたら一人相撲、でも手を抜けば殺される。だから撃つ、撃つ、撃つ。
もう光の弾は襲ってこない。俺ばかりが撃つばかり。
歩く。
歩く。
歩く。
行く手の闇が晴れていく、そんな気分が少しもしない。
終