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森にて。

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夜の帳に閉ざされた森

たくさんの命が、その闇に抱かれながら眠りに付いている。

しかし、草木も眠るそんな時にも。

今を必死に生きる瞬間が存在している。



腹が減った・・・。とにかくなんでも口に入れたい

常に行動原理を支配する

その欲求を満たすために

今もまた、森を彷徨う

口に出来るものならなんでも口にする

好みよりも、まずは腹を満たすか満たさないか。

それだけだ。

この季節、地面を彷徨えばいくらでもご馳走にはありつける

見つけて、食って、探して、寝て。

その繰り返しだ。

そんな生き方に意味はあるのか?

そんなコトを考える余裕はない。

とにかく生きる

それだけで生きるための理由として充分すぎる。

落ち葉を掻き分け

木の実を拾う。

ロクに確認もせずにかぶりつく。

旨い。

俺の命を支えるには充分すぎる味と

それ以上に重要な食べ物としての品質だ。

ガリガリと音を立てながらむしゃぶる。

これを食いきれば、また次だ

際限なく、死ぬまでそれを繰り返す

それに不満は全くない。

ただ、突然の死は嫌だ。

それを避けるために、周りの色と合わせたこの毛がある

最低限生き残り、子孫を残せと抗えない何かが俺に問いかける

食欲とおんなじだ、そして俺はそれにはやはり

不満はない。

この言葉の言うがままに生きれれば悔いはない。

チッ、また次の食い物を探さなきゃな。

小刻みに刻む心臓の音と、漆黒の闇の中から響く

音楽を聞きながら、また夜の闇へと溶けてゆく。

そうして、また次の食べ物を見つければ

またむしゃぶりついて

腹が一杯になれば眠る。

ただそれだけの繰り返し

だから、なんだ?

俺はメシを食い

何かを考え生きていた

それに、意味を見出すことはできなくても

必ずそこに意味はあった



今死にたくはない

自らの血を拡散させたい

餓える事無く、欲求を満たしたい

最後まで自分に、忠実でありたい


ささやかで、そして叶えることは

誰にもできない。

そんな願いを、光る空にふと願った






俺の願いは結局、梟の爪によって切り裂かれた。

俺もまた、梟の糧となる。

肉をついばばれながら、ただ、死にたくないと思った。
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