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ラストシーン15分から見る「愛の勝利、暴力の敗北がもたらすハッピーエンド」

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新感染の日本語吹替版がAMAZONプライムで出たんで早速購入したぜ。

これを買ったら次はDVD版も買おうかと思っている。

AMAZONプライム版は特典がなくて本編しかないのが難点だ。

ただし、プライム版は再生時間に応じてクリエイターに

金が入るシステムらしい。


これでもし、俺が左翼とか言われるのなら別に構わん。

俺は愛国者であるから全力で否定する。


しかし、作品に左も右もねえ!!!!


良いか悪いかだ!!!!!


注意:ここから先は全力ネタバレ&超感情的&その場の気持ちと熱で喋るので文体がめちゃくちゃです。苦手な人は気をつけてね。


今回は新感染のラストシーン15分を紹介したい。

状況としては、最後にゾンビに噛まれてしまった主人公ソグが
娘のスアンを運転席に閉じ込め、列車から飛び降り自決するシーンだ。おそらく、この場面を見ただけではイマイチ感動が伝わらないかもしれないので本編を見てから推奨する。

ただし、本編映像をそのまま切り抜くわけにはいかないので

申し訳ないが私の絵(トレース)で勘弁してくれ。


ではスタート。
43, 42

  

ソグ「スアン、パパを見て! いいかい、どんなことがあっても
※ソンギョンさんと一緒に居るんだよ!!」


スアン「いやだ……パパ!置いてかないで……!!パパ……どこにも行かないで!! 一緒に居て…!!」

※今回は紹介しないが、生存者の一人。
45, 44

  


横入りすまん……

もうこのソグの顔で涙腺あかんわ……

47, 46

  

49, 48

  

スアン「パパァァァああアあっっ……!!!パパあぁぁあああああああああっっーーーー……!!」

ソグ「うぅ……うぅー……ぁああっ……」(声にならない声)


中村悠一はここではかなり抑え目な演技をしているが、
個人的に韓国版ではコン・ユが犬の唸り声のような悲痛な泣き声をあげている。もうこの時点でボロ泣き。耐えられん。。。。
51, 50

  

泣き叫ぶソグ……しかし、少しずつゾンビ化の兆候が現れ始めていく……

しかし、その顔は何故かとても穏やかで……
53, 52

  

おいやめろ 
55, 54

  

ゾンビ化すると、瞳は白く曇っていく……

人間から獣へと落ちていくソグの目に映っていたのは

かつて赤ん坊だったスアンを初めてこの手に抱いたときの

あの懐かしい日……

全てを優しく包み込む温泉の湯気のように

何もかもが真っ白に曇り輝いていたあの日の光景だった……






ごめん……途中やけど、もうここで終わらせて……


。゚(゚´Д`゚)゚。゚。

泣きのオーバーキルやめて……



赤ん坊出してくるのアカン



ここのシーン、わずか15分ですよ!!!!??????
ここのシーンだけで他の映画のお涙頂戴シーンの2~500分ぐらいかき集めた号泣シーンですよ。

まずね、ここのシーン。



57, 56

  

最初に真顔から泣き顔へと変化していくこの流れ。

最初は噛まれたことを気にする間もなく、必死に娘に
自分が居なくなった後にどう行動すべきか伝えているのだが

やがて娘と永遠の別れになることを徐々に悟り、悲しみにあまり
思わず泣き出し、嗚咽してしまう。


やっぱり覚悟が愛に勝てるはずなんてねえよ。


どれだけ腹をくくったつもりでも、最愛の娘と二度と会えない悲しみ
娘の結婚式や、孫の顔を見たかったに違いない……この無念が伝わってくる。

正直、絶対に手放したくない筈だ。
それでも、これ以上一緒にいると娘まで襲ってしまうジレンマ。
決断の時はいつだって残酷だ。


コン・ユのこの表情が見ているだけで本当に胸がキリキリと締め付けられるように痛い。こんなに悲しいのなら愛なんて要らねえと思うほど切ない。

でも、何故か心がすごく温まるシーンだ。

59, 58

  

スアンの悲痛な叫び声を必死に噛み殺しながら
ソグはスアンの手を振り払い、彼女をソンギョンに託す。

そして、決して娘に襲いかかることのないように
スアンとソンギョンを運転室に閉じ込める。

ここのコン・ユのメソメソした犬の唸り声のような声にもはや
男のプライドなどない。あるのはただ、父親の悲しみだ。

愛しているからこそ、その手を離さなければならないこともある。

たとえ、愛した者の心に傷を負わせてしまうことになろうとも

愛してるから……すまん……涙がとまらん………

愛してるから 突き放す


本当に人間って生き物はどうしてこんな矛盾した生き方しか

できねえんだろう………




61, 60

  

男としてはあまりにも情けない

無様な泣き方だ

女々しいと揶揄されるような泣き方だ


でもな、悲しいもんは悲しいんだ。

心が痛いもんは痛いんだ。

愛しているから涙が出るんだ。

人間っていうやつは、知性ってやつで愛を抑えつけて

涙を耐えて生きろと言い始めたんだ?



魂から溢れ出す愛を抑え付ける権利なんて誰にもない。

63, 62

  

今際の時に過去の想い出を想い出す手法というのは香港映画でよく見られた演出だ。現に本作品を鑑賞したスティーブンキングがこの映画はジョン・ウー映画のようだと絶賛したことに現れている。

では、解説していこう。

愛の敵は知性だけではない、最大の敵は暴力である。

自分の欲望のために誰かを踏みにじる暴力。

本作品におけるゾンビとは生ける屍ではなく、

破壊衝動に飲み込まれた人間のシンボルである。

保身、疑心暗鬼によって誰も信じられなくなり

ついには自己防衛のために誰かを踏み台にする…

実のところ、人は誰かを踏み台にすることにとてつもない快感を覚える。


噛まれれば徐々に目が白くなり、暴力に飲まれた獣と化す。


ソグは目を閉じながら、必死で襲いかかる暴力への衝動を

抑えようとしていたのだろう。

道中、多くの人間が暴力に飲まれ死んでいった……

愛か 暴力か

暴力の根源であるゾンビに噛まれ、その破壊衝動に飲まれ

誰かを踏み台にして生き延びる快感……

だが、その快感は娘への愛によって見事打ち砕かれた。

ソグはゾンビ化のシンボルである白い目を踏み台にして

何もかもが白く包まれていた娘が誕生したあの日のことを

思い出すことに成功したのだ。

暴力を踏み台にして、愛を勝ち取ったのである。

ざまあねえな、暴力。

暴力が愛を凌駕することなど決して出来ないのだと。

現にソグは、ゾンビ化しても他のゾンビと違い最後の最後まで

破壊衝動に支配されることなく、愛する娘を思い出しながら

娘を守るために自決することができたのである。
65, 64

  

たとえ生ける屍となったとしても
ソグの白い目にはこれからもずっと娘と過ごした日々が
写り続けるだろう……


愛の勝利を映しながら、ソグは飛び降り自殺を図るのである。

抑えがたい暴力への衝動に対し、自らの死で報いたのである。

これをハッピーエンドと呼ばずしてなんと呼べばいいのか。


ソグは電車から飛び降り、娘を殺そうとしていた暴力を

見事突き落とし、そして懐かしかった想い出を想い出す……

親としてこの上ない死を手にすることに成功したのである。

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