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遥か彼方から

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この一年、いや一年半だろうか。ずっと死にかけていた。
僕はもう煙草も吸えないし、お酒もちょっとしか飲めない。
それで良いんだろうと思う。
怠惰な空が水のようになって、僕は満足。
願わくば僕の心もそんなふうに溶け込めばいいのだけれども。
あるいは昇華?

街は何も変わらない。細部は変わるけれど、本質は変わらない。
たとえ龍がこの街をすべて瓦礫にしたとしても。
あるいは、住む人が誰も居なくなっても。
それだけが僕の安息地で、街をふらつかせる。
ここだけが僕の住む場所で部屋に居るだけじゃ駄目だからっていう気持ちが。

見えているものの彼方の、その境界線の間に住むように、
ちょっとだけ手の届かないところにまた進むように。
ゆっくりと空を仰ぐ。
星も月も見えないから、空の高さはわからない。
真っ暗闇のなか躓く誰かのような、心許ない足取りの毎日。
108, 107

  

文章にならない文章を指が裂けるまで

しばらく何もせず生きていたけど、本質的には僕らの生き方に意味があるのかということを考えてしまう。
おそらく数億年後は文明も個々人の記録もすべてが消えてしまうわけで。
そう考えると、そんな虚しいものに心を砕いて一生懸命になる必要はあるのだろうか?
そんなことを考えるけれども、現に僕らは生きていてここにいる。
何億年も未来のことなんて今の僕らには関係ない。
だから生きるしかないんだろう。
それでも死にたいって気持ちや、デッドフィッシュに捧げるマッチの火のようにって気持ちは止められない。
世の中は何もかもが難しい。少なくとも首を括るよりは。
109

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