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【引き寄せの法則♥】

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引き寄せの法則を知ったのは、俺が就職浪人をやっていた8年前のこと。

当時「くるくるパー」というハンドルネームでネット活動をしていた俺は、SNSで流れてきた自己啓発系のセミナー講師のブログを辿っているうちに『引き寄せの法則』について知った。

就職浪人という身分で、かなりのコミュ障でもあった俺は、未来の自分に絶望していた。
…が、毎日アニメやゲームで現実逃避をしてなんとか生きていた。

素敵な恋人とかリア充生活とか、幸福な人生が何の代償もなしに手に入ったら良いなーと夢想しながら。

そんな俺にはマサキという名前の親友がいた。
こいつは家が金持ちで、両親が実業家なのだが…金目のものには無頓着で洋服もいつもユニ●ロだった。

金持ちなことを鼻にかけたりせず、気さくで人の悪口を言わない良いやつだ。
色んな事に挑戦していてスキルが高く、男女ともに友人が多い。

俺は、マサキが『引き寄せの法則』を実践しているのでは??と思った。
そしてある日、我慢しきれずに本人に直接問いかけてみた。

俺「なぁマサキ…ひょっとしてオマエ引き寄せの法則じゃないのか!?」

すると、マサキはポカン( ゚д゚)とした表情でしばらく口を空けていた。

マサキ「俺は……法則なのか??」

その日から…マサキの様子があきらかにおかしくなった。

平日はパチンコ屋でアルバイトをしていたのに、ブック●フで1日中、立ち読みをするようになったり、休日に遊びに誘っても電話が繋がらない(圏外)の日も増えた。

俺「なぁマサキ…ひょっとして俺がオマエに引き寄せの法則って言った事気にしてるのか?だとしたら、なんとなく言っただけからもう忘れてくれ!最近のオマエ見てると心配だよ」

するとマサキは穏やかな表情のまま首を横にふる。

マサキ「俺は、感謝しているんだよ。今まで知らなかった宇宙の叡智に触れる機会を与えられたのだから…キミは俺の魂の守護者なんだね」

俺は恐怖を感じてその場を逃げてしまった。

何故なら俺は魂の守護者<?>ではないし、当然マサキに引き寄せの法則のことを話したのだって偶然だ。

ただ思うままの人生を手に入れたかっただけなのに、大切な友人をスピリットな覚醒者にしてしまうなんて!!!

その後、マサキから何度か俺の携帯に連絡があったが、俺はどう返していいか解らず放置してしまった。

数か月後…ゼミでマサキの姿を見かけた。
マサキは全身ユニ●ロから全身エルメ●になっていた。

なんか高そうな腕時計と謎のサングラスをしていた。


俺(マサキ…いったいどうしちまったんだよ)

知人から聞いたウワサによると、マサキは大学生だというのに会社を設立して大稼ぎしているらしい。

ただでさえ家が裕福なのに、どこまで金持ちになるつもりだよ…。


俺「もう…住む世界が変わっちまったんだろうな」

俺は携帯のアドレス帳からマサキの連絡先を消去した。



数年後、俺はめっちゃくちゃ貧乏になってなんかメンタルも不調が続いて生活保護を受給していた。

昼過ぎに起きてネトゲをやって、夜コンビニに行ってカップ麺とペットボトル飲料を買って帰って生主の配信みながら食って寝る。

そんな日々を送っていた。


ピンポーーーーーーーーーン。

ある日、家のチャイムが鳴ったがいつものように居留守を使う。

しかし、DOORをノックする音と共に、懐かしい声が聞こえてくる。

マサキ「おーーーい!おーい!俺だよマサキだYO--!」

俺「なんだって!?マサキ??」

俺はびっくん!とトビウオのように飛び起きて玄関のDOORを開けた。

俺「ひ…ひさしぶり」

マサキ「YO!!チェケラ★会えてうれしいYO!」

マサキは何故かBボーイ風のファッションでラッパーになっていた。なんで?
しかし久しぶりに会った親友の笑顔に魂<ソウル>が癒されて、俺はその場で泣き崩れた。

ついでに小便も漏らした。


俺「ほんと、何でラッパーになってるんだよw数年前だっていきなり金稼ぎだして全身エルメ●になってたし…本当に引き寄せの法則マスターだったのか?」

マサキ「いや…正直引き寄せの法則について俺もググってみたんだけど、よく解らなかったしそんなに期待しなかったよ。だけどあの時…キミ結構就活で悩んでて、辛そうだったから…すこしでも明るい気分になってほしくて、俺がまず引き寄せやって楽しんでレポしようと思ったんだよ」

俺「そんな事考えてたのかーーーーーーーーッ!?!?」

マサキ「そのあと連絡とれなくなったけど」

俺「ごめんーーーーーーーーーーーー!!!」

マサキ「今も引き寄せとかよくわかんないけど、今を楽しむ??っていうのは共感してるよ!実際、ラッパーもめっちゃ楽しい!」

俺「うん、それはたのしそう」

マサキ「今から原宿行くんだけど一緒に行かない!?クレープ食べてプリクラ撮ろう」

俺「女子高生かよ」

マサキ「ごめんごめん、俺も人混み苦手」

そんなやり取りをしているうちに、数年間音信不通だったことも忘れされるくらい距離が縮まった。

ちなみにこの話に出てくるマサキが、今の俺の夫です。

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